アンドレア・ピルロ 天才レジスタの「戦術眼」(前編)

『新生ユベントスを操るマエストロのプレービジョンを聞く』
ゲームの先を読み、長短のパスを自在に操る希代のレジスタが理想とするサッカーとはどのようなものか? また、そのプレー理論とはいかなるものなのか? 天才の戦術眼についてたっぷりと話を聞いた。翻訳:宮崎隆司

2012年12月21日(Fri)15時39分配信

text by クリスティアーノ・ルイウ photo Sinichiro Kaneko/Kaz Photography
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ユベントスを操るマエストロ、アンドレア・ピルロ【写真:Sinichiro Kaneko/Kaz Photography】

【後編はこちらから】 | 【欧州サッカー批評5】掲載

チャビとイニエスタを上回る要素

――シャビとイニエスタ。正真正銘の天才と呼ぶべき2人のMF。史上最強のクラブ、バルサを史上最強たらしめる“張本人”がまさしくこの2人のMFだが、一説によれば、他ならぬグアルディオラが「ピルロこそが最高のMF」と周囲に語ったと言われている。あの天才2人を仮に上回る要素があるとすれば、アンドレア、それは君が備えるどの部分なのだろうか?

「答えは簡単だよ。それは他でもなく、齢。この僕の方が彼らよりも多く年をとっているってことだよ(笑)」

――という冗談はともかく……。

「そうだね、まぁそれは確かに冗談なんだけど(笑)。でもホントのところ、この僕がシャビとイニエスタよりも優れているなんてそれこそ微塵も思ってはいないんだよ。というか、この手の判断は当人が決めることじゃないしね。やっているサッカーも違うんだし。そもそも彼らと僕とでは積み重ねてきたクルトゥーラ(=Cultura。文化の意。この場合は“サッカー文化”)がまったく違っているわけだから。なのでいわゆるバロンドール的な、あの意味のない賞のような比較は無益だと思うんだよ。

 ただ、言えるのはね、この僕がとりわけシャビを高く評価しているってこと。心から尊敬していると言った方が正しいのかも。なぜって、彼はまさしく僕と同じポジションでプレーするMFだからね。さっきも言った通り、ユーベとバルサではサッカーの質そのものが違い過ぎるから同じレジスタといっても求められる仕事は根本的に違うんだけどね、それでもやっぱり“同業者”として僕はシャビを限りなく高く評価しているんだよ。

 もちろん、あのバルサの強さとシャビ、そしてイニエスタの優れたプレーは彼らだけの力量によるのでなくて、GKをも含むすべての選手が実にムダのない動きを連続させているからであってね。シャビにしてもイニエスタにしても常に4~5本のパスコースを持つことができる。で、バルサの場合はそこで終わるんじゃなくて、その幅の広い選択肢がピッチ上のあらゆる場所で創られていく。そしてそれが常に連続している、と。まさにあれは芸術。見事なハーモニーを奏でる極上のオーケストラだね。その指揮者が他ならぬシャビ。

 もちろんイニエスタも。彼はより前でプレーするMFだから、当然のことながらシャビや僕とは違うタイプだけどね。いずれにしても、2人とも本当に素晴らしい選手だよ」

――とはいえ君もまた行く先々のチームで華麗にタクトを振り続けてきた。

「ブレッシャとミラン、そして今はユベントスで。バルサとは違うし、その質もレベルも異なるチームで、でもどこへ行ってもそれなりのプレーを見せてきたと、そういう自負はもちろん持っているよ」

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