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インタビュー『高橋秀人、サッカーを探求する』(前編)

「早く指導者になりたい」
語り出したら止まらない。分析眼は鋭く、話は極めて論理的。まさに「プロフェッサー」の異名に相応しい頭脳と探究心を持つ高橋秀人。FC東京と日本代表でさらなる飛躍を誓う彼にたっぷりサッカーの真髄について語ってもらった。

text by 西部謙司 photo by Kenzaburo Matsuoka

【後編はこちらから】 | 【サッカー批評issue60】掲載

卒論は「全失点分析」

 大学の卒業論文が、「2009年のFC東京全失点分析」だった。

「卒論については、代表に入ってからよく聞かれるようになったんですけど、加入1年目のときは誰もくいついてくれなくて(笑)」

 分析の結論はともかく、高橋秀人は大学とプロの守備のやり方に違いがあると感じたそうだ。

「大学に比べて、プロはゾーンディフェンスができないというか、1対1を明確にした守り方をするんです」

[図1]大学とプロのディフェンスの違い

――なぜ、全得点分析じゃなくて、失点だったんですか?

高橋 自分が守備のほうの選手なので、『失点を分析することで、将来に役立てたい』という、安易な結論にしようと思って(笑)。

――分析してみて、いかがでしたか?

高橋 大学と比べると、プロはゾーンが得意でないというか……例えば、2対2で相手がドリブルで来る(図1)。もう1人のFWが外を回っていくとします。このとき、僕は単純にズラしてしまえばいいと思うんですが、人のほうを見てしまうと、相手にカットインされて左足でシュートされてしまうケースがすごく多いんです。

――なるほど。

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