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選手権で躍進した京都橘高校。彼らはなぜ足がつらなかったのか?

text by 河治良幸 photo by Kenzaburo Matsuoka

大会中に牛肉ではなく豚肉を摂取する理由

――春先の栄養講習から、体作りに関して特に強調したのはどんなことですか?

「スポーツ選手はとにかくタンパク質を摂らないといけないイメージがありますが、食事からタンパク質は十分に採れている。でも炭水化物がなかなかとれていないんですね。食事調査のデータを集計してそれははっきりしているので、特に炭水化物をしっかり採ることを意識することをお話しました。

 基本的に京都橘はみな自宅生なので、ご家庭の食事がメインなんですけど、食事調査によって、いきなり大きく改善されるというのは難しくても、積み重ねていくと効果が出てくるんじゃないかと思います」

――高校生はまだ成長期にありますが、選手権に関しては高校年代の最大目標ということで、ハイパフォーマンスも求められます。そこで気を付けたところは?

「アスリートの食事の考え方として、普段と試合期で栄養摂取のポイントが違ってきます。京都橘高校が選手権に臨むにあたっても、試合期の食事の摂り方を伝えました。試合の時はエネルギー源となる炭水化物と疲労回復のためのビタミンが大事で、特にビタミンCに関してはホテルの食事中でもオレンジジュースを必ず飲んでもらっていました。メニューに付いてない場合は事前にスタッフに買いに行ってもらって。あとは豚肉ですね」

――肉が必要と言うのは分かりますが、なぜ牛肉ではなく豚肉なのでしょうか?

「様々な栄養素を見ると牛肉の方が多いものもあるんですけど、今回は疲労回復の目的でビタミンB1をしっかり摂りたかった。それだけ見ると豚肉の方が10倍多いんですね。なので、大会中は常に豚肉でもいいかなと思っていました。

 ただ、モチベーションも大切じゃないですか。なので大会期間中に『餃子の王将』に行ったというのが話題になりましたが、ずっと試合が続いていましたし、前日のお昼なら中華料理でも問題なく、“地元の味”で気持ち的に盛り上がるんじゃないかと。

 『餃子の王将』と言っても好きなものを選んでというわけではなく、ラーメンとチャーハンと餃子で、必ず豚肉と炭水化物が摂れる組み合わせにしてもらうのは決まっていました。

 ホテルの食事に関しても、こちらに気を遣って牛肉のステーキなどを出してくださったんですけど、疲労回復のために豚肉が必要だったので、メニューに無い時はチームスタッフの方にハムを買いこんでいただいて、1人1パックのハムを食べてもらいました」

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