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サッカー業界の暗部の実態。世界一の放映権料で潤うプレミアリーグで働く無給の人々

プレミアリーグは世界中から注目され、また莫大な放映権料で潤うリーグだ。ところが、それを支えるスタッフは信じられない待遇で働いている。華やかな世界の一方で、目に見えない部分では、多くの問題点を抱えている。

text by 永田到 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

数クラブが法的な違反をしている実態

 サッカー業界に就職することは、医者や弁護士になるのと同じくらい難しい――有名金融機関に勤務後、現在はサッカー界への転職を目指すイギリス人はこう語る。

 イングランドにおけるサッカー業界への就職のルートは、日本と大きく変わらない。業務経験と人脈開拓の両方が期待できるインターンシップを積み重ね、そのまま就職に結びつけるケースが目立つ。

 一般公募やエージェントを通してのルートも一応は存在するが、数名の採用枠に希望者が殺到する。特に世界的に名の知られているビッグクラブとなれば、英国ネイティブにとどまらず、欧州、南米、アジアといった海外からの留学生も就職の機会を狙う。

 就職への近道につながるインターンシップは、サッカーを生業としたい学生にとって、極めて重要な機会となるのだ。

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イングランドでサッカー業界に就職することは難しい【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 2013年4月。翌シーズンに向けた人材確保が活発化するこのタイミングで、プレミアリーグ内の複数のクラブが法的な問題点を指摘された。

 練習と試合のビデオ撮影、データ入力、選手のパフォーマンス分析といった業務分野について、約1年と長期間に渡る無給のインターンシップ希望者を募集。イギリスの歳入税関庁から「不公平で搾取的」な条件と判断されたのだ。

 この条件下でのインターン生の採用、もしくは勤務実態が判明した場合、法律で定められた最低賃金水準を満たしていないとして本格調査を実施する可能性があるという。現段階で、調査対象として英国メディアに実名で取り上げられているのは、ウィガン、スウォンジー、そしてレディングの3クラブだ。

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