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【松田浩の超分析】日本代表の守備はなぜ崩壊したのか? 上っ面だけが良かったザックジャパン

サッカー批評本誌で好評だった栃木SC松田浩監督の日本代表守備分析。今回は3戦全敗で敗退したコンフェデの日本戦での分析をお願いした。期間中もJ2は開催されており、松田監督には試合のすべてのシーンではなく、失点シーンを中心に振り返って頂いた。なお、インタビューは試合の映像を見ながら進めた。

text by 鈴木康浩 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

吉田のミス。しかしその前にも軽率なプレーが

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黒……日本代表
赤……イタリア代表
後半4分、日本の2失点目のシーン

 後半4分の日本の2失点目のシーン。イタリアのフリーキックの流れから、吉田(22)が自陣ペナルティエリア内でボールの処理を誤り、相手に奪われる。そのクロスに対して必死に戻った内田(6)だったが、オウンゴールとなった。

「これ何分ですか?」

――後半4分ですね。

「まだ5分も経っていないですよね。やはり立ち上がりの5分ですよね」

 まず映像を見てみる。

「まず一つは、吉田が相手の入れてきたボールをバウンドさせてしまったのが問題。ボールを落とさずに蹴りだしておけばよかった」

――吉田は何をやろうとしたんですかね。

「体をいれてゴールキックにしようとしたんじゃないですかね」

 もう一つの問題は、その前にシーンにあるという。

 この失点シーンはイタリアの左サイドのフリーキックから始まる。ゴール前混戦からこぼれたボールを本田(4)がクリアしたが、すぐにピルロ(21)に拾われてペナルティエリア内にボールを戻された。そこで吉田が対応し、致命的なミスを犯す。

「ここの本田のクリアを思いっきり蹴りだしておけば問題はなかったと思います。一回プレーを切っておく。とくに後半の立ち上がり5分間、クリティカルフェイズだから。ボーンと大きく蹴っておいてもいいんです。

 そうすると相手に『こいつら隙がねえな』と思わせることができるし、こっちも『絶対にやらせねえぞ!』という意志表示ができる。ブラジル人はよくやりますよ。うちの(栃木の)クリスティアーノなんかもよくやりますね。

 このシーンの本田のプレーは軽過ぎるプレーというか、こういう中途半端なプレーをしていると、相手に『つけ入る隙があるな』と思わせてしまうものなんですよ。『ボールをかっさらってやろうか』などと勢いづかせてしまう。

 そういうときに大きく蹴りだして自分たちの気迫を相手に見せつけることも、したたかさ、うまい試合運び、というやつなんですよ。その辺りは、ブラジル人は本当にうまいですよ。日本代表は相手に対するメンタル的な駆け引きというか、そういうことをやる選手がいないなあと感じます」

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