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日本代表 11年前

東アジア杯MVP・山口螢が語る、代表定着に必要なこと

東アジア杯は日本の優勝で幕を閉じた。MVPは3得点の柿谷曜一朗ではなく、ボランチの山口螢。彼がチームにもたらした計り知れない貢献度とは? そして自身は代表定着のために何が必要だと思っているのか?

text by 元川悦子 photo by Asuka Kudo / Football Channel

「嬉しい反面、少し悔しい」

「MVP? 俺でいいのかな。誰が見ても(柿谷)曜一朗だと思うので…」

 28日にソウル・蚕室オリンピックスタジアムで行われた東アジアカップ最終戦。宿敵・韓国相手に死闘の末、劇的な勝利を飾り、大会MVPに輝いた山口蛍は遠慮がちに苦笑した。

 値千金の2ゴールを叩き出したクラブの先輩・柿谷も「蛍のMVP? ないでしょ(笑)。正直、ディフェンス陣のコマさん(駒野友一)とかかなと思っていたけど」と冗談交じりに笑っていたが、3試合全てに出場し、中盤で献身的な仕事ぶりを見せたことが評価されたのだろう。

 昨年のロンドン五輪の3位決定戦で苦杯を喫した相手にリベンジを果たすことができたが、本人としては終始、劣勢を強いられた試合内容に満足していないようだ。

「後半は多少なりともいけたかもしれないけど、前半はかなり相手に押し込まれて、チーム全体としてもすごい下がってしまって、なかなか前に行けなかった。自分の中で、いい印象を持って優勝したという感じでは全然なかった。

 最終的に勝てたけど、本当に日本らしいサッカーをして勝ちたいという思いがすごくあるので、嬉しい反面、少し悔しい気持ちもあります」とあえて課題を口にする。

 確かに山口自身、この日はユン・イルロクのミドルシュートの際に寄せきれず、間合いを空けすぎるというミスを犯した。今季はセレッソ大阪で攻撃的MFで起用されることが多く、感覚的な違和感があったのかもしれない。

 今大会を通して守備面で詰め切れなかったり、振り向かれて相手に決定機を作られたりするケースが何度か見受けられた。21日の初戦・中国戦でも、前半終了間際にマークに行ったガオ・リンの反転を許し、裏へパスを出されてあわや1点かという大ピンチに直面。厳しい当たりと高いボール奪取力に定評がある彼らしくない一面を垣間見せた。

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