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セリエA 11年前

長友が「覚えるのも大変」と語るマッツァーリの戦術。新監督の下でインテルは上位に進出できるのか?

昨季、まさかの9位に終わったインテル。捲土重来を期す名門は新監督マッツァーリを迎えた。今週末にリーグ開幕を控え、長友のコメントからもいい意味でインテルが変わる兆しが見え始めている。

text by 神尾光臣 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

徐々に深まりを見せる戦術浸透度

長友佑都
長友佑都【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 18日、インテルはコッパ・イタリア第3回戦でセリエBのチッタデッラと対戦した。上位は4回戦からの出場だが、昨シーズン9位に終わったインテルはこの時期からの試合を強いられる。ただセリエA開幕を一週間後に控えたスパーリングと考えるなら、いいマッチメイクとも言える。

 そしてその試合で4-0。相手DFの退場が絡んだとはいえ、久しぶりにサン・シーロで危なげのない内容。そして何よりマッツァーリ新監督の戦術が各選手に大分浸透し、(今度こそ)いい意味でインテルが変わりそうな雰囲気が高まってきた。

 それは、長友一人の動きを見ていても分かる。この日は試合前に「今日は左で出るように」との指示を受け、「練習もずっと右でやっていたのでびっくりした」という彼だったが、これまで右ウイングバックで出場したプレシーズンの4試合と変わらずスムーズにゲームに入ることが出来た。右ではグアリンやカンパニャーロと良く連動して動けていたが、同様のメカニズムが左でも機能していたのだ。

 インサイドMFのアルバレスは、外にも積極的に張り出してサイドをサポート。それに呼応して中にスペースが出来れば長友が内側に入り、スペースが出来たところにすっとパスが出て来る。

 マッツァーリと6年の付き合いで戦術を熟知するカンパニャーロと違い、左のCBファン・ジェズスは守備で若干の不安定さを見せてはいたものの、ビルドアップの際にはアルバレスや長友を走らせ易くするよう、縮めたポジションを取る。そうした中で長友も高い位置を取り、前に行くことが出来ていたのだ。

 それはやはり、チームとして戦術理解が深まっていることの表れである。「攻撃でも守備でも、覚えるのも大変なくらい色々なパターンがある。頭をパンパンにしている」と言う長友だが、やりにくそうにはしていない。

「本当に高い位置で勝負もできるし、チームとして守備も攻撃的な守備をする。ということは前でボールを取れる回数が増えるということで、本当にやってて楽しい」と、むしろ新戦術の効果を前向きに語る。

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