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アジア 11年前

入るまでが大変!? 日本人関係者が語るタイの厳しいサッカー事情

現在、タイにはトップリーグのタイプレミアリーグ、その下のディビジョン1、地域リーグにあたるディビジョン2を含めると、40名近くの日本人選手が活躍している。そして、彼らの挑戦を後押ししようとする日本人もいる。今回は、そんな裏方の日本人を紹介したい。

text by 長沢正博 photo by Masahiro Ngasawa

「レギュラーを取るよりも入るまでが大変…」

内田淳佑
タイでIT企業を経営する内田淳佑氏。仕事の傍ら、チャンスを求めてタイへ渡ったサッカー選手たちのサポートをしている【写真:長沢正博】

 タイでウェブ制作やアプリ開発などのIT企業を経営する内田淳佑氏は、仕事の傍ら、チャンスを求めてタイへ渡ったサッカー選手たちのサポートをしている。チームやエージェントの紹介から、宿泊施設の提供、時間がある時は移動の手伝い、通訳など内容は多岐にわたる。

 内田氏自身もタイやマレーシア、シンガポールでプロ選手を目指したが、入団直前にチームが破たんしたり、怪我のせいで契約を破棄されるなどして24歳の時に引退。その後、タイの現地企業で働き始め、独立した。

 内田氏は「レギュラーを取るよりも、チームに入るまでが大変」と語る。ネックになるのは、一筋縄ではいかないタイのエージェントたちだ。

「電話でチームとコンタクトが取れたら、エージェントだと思っている人が多い。選手を抱えるだけ抱えて、チームに入れなかったら選手のせいにされる。同じポジションの外国人を5人も一つのチームに連れていく人もいる」

 せっかく日本から来ても、タイのエージェントがまったく動かず、選手が放置されてしまうこともある。1カ月の予定で滞在しているのに、2、3週間とホテルに足止めされれば、精神的な負担も大きい。移籍市場が開く期間は限られているため、時間のロスが原因で契約に至らなかったこともある。

 さらにチームと契約寸前までいっても、エージェントのせいで破談になったケースもあるという。契約の際、チームからエージェントに支払われるエージェントフィーが設定されればいいが、それがない場合、選手に払われるサインフィーを選手とエージェントが折半する。

 そこでエージェントが自分の取り分を増やそうと、サインフィーの額を釣り上げようとして、チーム側ともめてしまうのだ。

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