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注意したい日本人選手の海外挑戦。リスクある東欧移籍、明るみになった理不尽だらけの実情

text by 永田到 photo by Asuka Kudo / Football Channel

横暴なファンを抱えるチェコ、問題の多いギリシャ

 チェコでは、国内の過激なサッカーファンに起因する問題をいくつか抱えている。チェコのプロ選手の内、暴力を振るわれたことがあると返答しているのが28.7%で、その97.2%がファンによるものだという(ファンの定義が、自クラブのサポーターと対戦相手のサポーターのどちらを示しているのかは定義されていない)。

 また、36.5%に上回る確率で選手が経験した人種差別の内、加害者83.7%がファンによるものだという。サッカー選手のプレーを観るためにチケット代を支払っているファン自身が、選手のモチベーションやパフォーマンスを低下させるような行為に及んでいるというのは、にわかに想像しがたい実情である。

 財政危機が度々報じられてきたギリシャでは、やはり資金不足による給料の遅延が目立っている。期日通りの支払いを受けていると答えた選手の割合は32.5%に留まり、67.5%の選手が期日通りの支払いを受けていないと回答している。さらにはその内31.8%の選手が、支払いが期日より6か月以上も遅れているとしている。

 ギリシャは他にも、チームから離れて選手個人での単独練習を強要されたという経験が25.4%、クラブのスタッフやファンから暴力を振るわれたという経験が31.5%にものぼっており、多くの面で問題を抱えていることが見て取れる。

 移籍シーズン真っ只中の2013年8月、国際プロサッカー選手会はある声明文を発表した。その声明文の中でギリシャは、キプロス、トルコと併せてFIFAの紛争解決室に持ち込まれる案件の数が、世界で最も多い国の一つだと指摘されている。さらに同選手会は、これらの国における、UEFAクラブライセンス未取得で、健全性が期待できないクラブへの移籍に警鐘を鳴らしている。

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