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香川真司 10年前

香川真司がマンUから移籍しない5つの理由

シリーズ:フットボール母国の神髄 text by 森昌利 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

ソシエダ戦ではルーニーとの「夢」のコンビも

 新監督というのはナーバスなもので、何もかもまず自分の目で確認しなくては“何事も決めたくない”と思うものだろう。とくにサー・アレックス・ファーガソン監督という偉大な前任者の後任となったモイーズ監督の場合、その気持ちはなおさらでないか。当然、プレシーズンに遅れて参加した選手をすぐさま使う勇気はない。

 しかしその状況は最近、少しずつ、ゆっくりではあるが、確実に好転している。このところ香川は、欧州CL戦を中心に先発起用されはじめ、モイーズに注意深く試されはじめた。この辺りの、モイーズ監督の気質、プレースタイルの好み、香川の起用方針については、“サッカーとフットボールの違い”というテーマとともに、来週のコラムで明らかにしたいが、日本代表MFに対するスコットランド人指揮官の扱いは変わった。

 きっかけは10月23日にホームで行われたレアル・ソシエダとのCL戦だった。この試合で香川は今季初のフル出場を記録。モイーズ監督は左サイドで先発させたが、その出来が良く、試合終了間際の10分間はトップ下でルーニーとコンビを組ませ、イングランド代表FWとの連携を好む香川にとっては「夢」とも言えるシステムでプレーさせた。

この時間帯で香川はさらに切れ味鋭い動きを見せ、モイーズ監督に、とくにルーニーとの縦の連携でその才能の片鱗を見せつけた。

 すると試合後の会見でモイーズ監督は、「誰もがいい選手だと言ってきたが、初めて本当のシンジを見たと思う」と語り、今季の公式戦終了直後の会見で初めて香川を褒めるとともに、それまで日本のナンバー10を使わなかった本音を漏らした。

それは、自分が設定したフィットネスレベルに達したと己の目で見極めるまで、どんなに前評判が高くても、前監督が素晴らしいといっても、その選手を使うことはないという方針だ。

 モイーズ監督のこの香川に対する評価は、次戦のストーク戦連続先発というはっきり目に見える形で表れた。

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