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香川真司 10年前

香川真司がマンUから移籍しない5つの理由

シリーズ:フットボール母国の神髄 text by 森昌利 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

理由【4】チームメイトとの良好な関係

 まず微笑みを浮かべたイングランド代表MFのアシュレー・ヤングが香川に近づき、その頭を素知らぬ顔で小突いていった。すると今度はルーニー。

 最後の10分間、香川と2トップでコンビを組んだワンダーボーイは、真剣な表情で記者団に囲まれた日本代表MF見つけると、いたずらっ子のような顔になって、その背中に体当たり。「なんだ!」という顔で振り向いた香川にあどけない笑顔を見せて、早足で通路を去っていった。

 そのルーニーの表情は、「おい、今日のプレーは良かったぞ。またその調子で頼む」とでも言いたげな、本当に親しみのこもったものだった。香川がユナイテッドの大黒柱に、チームメイトとしてしっかり受け入れられているのが分かる場面だった。

 こうしたルーニーの態度は、試合だけではなく、普段の練習を通して、香川がそれなりの存在感を示している証拠だろう。そうでなければ、あのやんちゃで勝ち気なワンダーボーイが、あんなに無邪気に香川に接するわけがない。

 こういうシーンに出会うと、「香川がユナイテッドでハッピーではない」「移籍を考えている」という推測には行き着かない。むしろ、どうにかしてユナイテッドのレギュラーになろうと、普段の練習からチームメイトをしびれさせるような動きを見せていると考えるのが妥当ではないか。それだからこそ、この夜、ヤングやルーニーが「良かったな」と祝福するように、いいプレーをした香川を茶化していったのだろう。

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