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ファンタジスタ・中村俊輔のターニングポイントを辿る(後編)

11月10日、BS朝日で放送された「SPORTS X」(スポーツクロス)には横浜F・マリノスのファンタジスタ・中村俊輔が登場。

text by 編集部 photo by Asuka Kudo / Football Channel

【前編はこちら】

ファンタジスタ・中村俊輔のターニングポイントを辿る(後編)
中村俊輔【写真:工藤明日香 / フットボールチャンネル】

 そして2010年南アフリカW杯での苦渋。

 中村俊輔は直前でレギュラーを外され、この大会をベンチメンバーで過ごすこととなった。当時の心境を明かす。

「これが一番キツかった。10番をつけさせてもらって、予選も含めて何年も積み上げてきて、いよいよというときに自分が調子を落としてレギュラーではなくなってしまった。その心境は………つらかったですね」

 その屈辱の期間をこう振り返る。

「なんでこうなってしまったのか………宿舎に戻っても、自分のふがいなさ、自分の力のなさに愕然としていた。ワールドカップ中は自分の時間がすごくあるので。試合に出ないとモチベーションも、フィジカルもなかなか上がってこない。

 これが終わったらこうしようと、次の目標を考えるぐらいかしポジティブには過ごせなかった。チームメートの楢崎さん(楢崎正剛)、能活さん(川口能活)、闘莉王だったり、そういう選手がいたことで助かりました」

 この年、横浜F・マリノスに復帰。今年は首位に付けているチームをけん引し、年間MVPの最有力候補とも目されている。現在の好調の理由については、プレーしているポジションにあるという。

「スペインから帰ってきたときは右サイドでプレーしていたが、去年の途中からは真ん中でプレーしている。そうするとプレーしやすかった。いろいろなポジションに顔が出せるし、走る距離は長くなるが、キレが出てくる。それと同時に調子も上がってきたかなと。それも不思議な感覚ですね」

 現在のポジションは、トップ下だ。かつてプレーしていたポジションでもあるが、昔とは全然違うという。

「一番はどの位置にボールがあっても、常にゲームに関わっていないといけないこと。それで常にゲームに入れている。サイドだと反対側にボールがあると、まだいいや、とポジショニングもある程度になる。常にボールに絡めているのが、今の自分にちょうどあっている。面白いシーズンを過ごせている」

 最後に自分の未来を書き示す「未来履歴書」を提示。

1ヵ月後:リーグ優勝
10年後:F・マリノス監督
20年後:日本代表監督

 監督業については「すごく興味がある。今まで自分が突っ走ってきたので、人に教えたり、人をまとめたりという自分が得意ではないことをイチから勉強してやってみたい。海外でもいろんな監督を見てきたので、興味がある。(日本代表監督について)日本人の良さを世界の人に見てもらいたい。自分も代表でお世話になったので、やってみたい」と20年後の目標を語っていた。

【了】

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