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【プレーを徹底分析】“130億円男”ギャレス・ベイル。サッカー選手として彼は何がすごいのか?

text by 清水英斗 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

ロナウドと対照的なシュート軌道

 ベイルのシュートは、体重の乗せ方がうまい。スポーツや武道の動きを研究する自然身体構造研究所の吉澤雅之・所長の言葉を借りると「落下エネルギーをボールにぶつける」際のタイミングがバッチリ合っている。

 ボールを置く位置も、流れの中で相手のプレッシャーを受ければ普通の選手はボディバランスがブレてしまうものだが、ベイルの場合はそれがない。ちょっとバランスが崩れた中でも蹴り足だけをボールに当てる、といった蹴り方も巧みだ。カーブをかけて巻くキックも、インステップの弾丸も飛ばせる、キックの技術の高さが大きな魅力となっている。

 比較すると、たとえばクリスチアーノ・ロナウドはどちらかと言えば、ボールの中心を力任せに叩くキックを得意とする。シュートというものは、フォロースルーが上方に抜けるとボールが浮いてしまう。

 そのためロナウドの場合はフォロースルー自体をあまり取らず、インパクトと同時に蹴り足を止め、引っ叩くように蹴ることで、抑えの利いたシュートを打っている。必然、ボールはドライブ回転がかかりやすく、低く沈むような弾道でバウンドすることが多い。ランパードなども、この手のシュートを得意とする。

 しかしベイルは、フォロースルーをしっかりと取ったうえで、ボールが浮かないような角度、すなわち前方へ足を振り抜くことで、抑えの利いたシュートを打つことができる。弾道としてはロナウドのようなドライブ系より、伸び上がるようなホップアップ系のシュートが多くなる。対照的なキックフォームを持つ、ロナウドとベイルは比較すると面白い。

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