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アジア 10年前

「セレ女ブーム、正直羨ましい」。セレッソから期限付き移籍、豪州で奮闘する永井龍の現在地

text by 植松久隆 photo by Taka Uematsu

「笑いのスキルが大幅にダウンしてた」

 今季の永井は、開幕からここまでレギュラーとして出場、既に9試合中7試合に先発出場(前節はケガで欠場)して、2得点を上げ、昨年のゴール数に並んだ。

「今まで、(Aリーグで)4点取ってるんですが、まだ、自分がゴールを決めた試合で勝ちが無いんです。とにかく自分のゴールでチームを勝たせたい、ウィニングゴールが欲しいという強いモチベーションがあります。二桁は(点を)取りたいと思って(今季に)臨んでいるし、現時点ではまずまずのスタートで達成可能な数字だと思う」と手応えを語る。

 永井が今、身を置く環境は日本と比べて、恵まれてばかりでは決してない。海外での通訳も付かない孤独な挑戦に、時にはホームシックになりかけることもある。

「ここ(オーストラリア)での生活を基本的には楽しんでいるけど、それでも、たまに日本に帰りたくなるんです。その理由は『人』と『食』。『人』ってのは、同じ大阪のノリで笑いあえる友達。ここ(のチームメイト)は、笑いのツボが違い過ぎる。実際、前回日本帰った時に自分の笑いのスキルが大幅にダウンしてたくらいですもん」

 さらに、自らのモットーを挙げてもらうと、永井の口からは「“こつこつ”は、勝つコツ」という面白いフレーズが出てきた。

 この言葉は、見えないところでの努力の積み重ねが大事だということを気づかせてくれたと語る「基本的に人と同じことをやるのが嫌い」と自己分析する22歳は、数々の環境面のデメリットさえ、その天性の明るさと努力でプラスに転化させた。そして、今は、その環境の違いを楽しむ余裕を見せるまで逞しくなった。

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