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新監督の下、どん底から這い上がったクロアチア。W杯で再び旋風を巻き起こすことが出来るか?

アイスランドとのプレーオフに苦戦するなど一時期、クロアチアのチーム状態はどん底だった。救世主はニコ・コヴァチ新監督。W杯出場を決め、冷静にチーム作りを始めている。元々高水準のタレントは揃っている。3位に入った98年のように旋風を巻き起こすことが出来るか?

text by 長束恭行 photo by Yasuyuki Nagatsuka

わずか1ヵ月の準備でプレーオフに臨んだニコ・コヴァチ新監督

 アイスランドとのW杯プレーオフ第二戦前夜。クロアチア人のジャーナリスト仲間ミロスラフと雑談で盛り上がる中、ふいに私は試合の結果予想を尋ねた。彼の表情は決して明るくない。

「25分までにクロアチアが先制点を奪えなかったら苦しい展開になるだろうな。もちろん勝っては欲しいが…」

新監督の下、どん底から這い上がったクロアチア。W杯で再び旋風を巻き起こすことが出来るか?
ニコ・コヴァチ監督(右)とアシスタントを務める弟ロベルト・コヴァチ(左)【写真:長束恭行】

 クロアチアは精神的に追い込まれていた。EURO2012終了後に代表監督を任されたイゴール・シュティマッツは、秩序とモラルを無視した招集と起用を繰り返してチームが崩壊。ベルギーに次ぐグループ2位は確保したものの、最終節のスコットランド戦の敗北後にシュティマッツの首が切られた。

 サッカー協会長のダヴォル・シュケルから後任要請を受けたのが前主将のニコ・コヴァチ。U-21代表監督として結果を残していたものの、彼に残された時間はわずか1ヵ月しかなかった。

 5日間の練習で挑んだレイキャビクでの初戦は、相手退場による数的優位を活かせぬままスコアレスドロー。ベルリン生れのクロアチア移民二世である新指揮官が求めるサッカーは、ドイツ流の「勤勉かつ縦に強いサッカー」だ。前監督の無手勝流なサッカーに慣れてしまったチームには時間が足らなかった。

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