殴り続けた監督、現役Jリーガーも加害者の一人。暴力が横行する高校サッカーの部活動

体罰やしごきが社会問題になりながらも、未だに一部のサッカー強豪校や伝統校では、行き過ぎた指導が行われている。なぜ理不尽な指導はなくならないのか? このほど出版された加部究著『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(カンゼン)の中でその実態が明らかにされている。(文中のイニシャルは書籍とは異なります)

2014年01月01日(Wed)18時33分配信

text by 加部究 photo Kenzaburo Matsuoka
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疑問だらけの部活生活

 BはJクラブのジュニアユースで、3年間レギュラーとしてプレーをして来た。ユースへの昇格は逃したが、それならやはり全国高校選手権を目指そうと、希望を抱いて強豪高校へと進学した。

 だが実際に強豪校の練習に参加してみて疑問が沸いた。中学時代は濃密で合理性の高いトレーニングを積み重ねて来た。新しい戦術理論も教わり、サッカーの奥深さも知って、心から楽しむことができた。

 ところが強豪校では「これ、意味があるのかな?」と首を傾げるようなメニューが延々と続けられる。例えば、守備側のマークする相手もつけずに、4人でパスを回してゴールに蹴り込む…など、ひたすら単純な作業が繰り返された。

 春合宿が始まると、さらに疑問は膨らんだ。

 夕食中に誰かが無断でトイレに立つ、食べ残しがある、床にご飯粒が落ちている…、などと指導者が些細な規律違反を探しては、連帯責任として翌朝罰走を強いるのだ。

 罰走に限らず、全てのインターバルトレーニングは、全員が一定タイム以内に入るノルマを課すので、1人でも遅れれば果てしなく続いた。

 さらに夜になれば、3年生が気分次第で暴力を繰り返す。やがてBは別のJアカデミー出身の友だちと「もう辞めて別の学校に編入しよう」と話すようになり、遂に夏合宿を経て気持ちが切れた。

 1年生担当のコーチに話すと何度かは止められたが、気持ちは変わらなかった。担任、学年主任、生活指導の教員とも話をしたが「またか…」という投げやりな空気しか伝わってこない。サッカー部員が毎年4~5人退部していくのは恒例化していた。

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