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日本代表 10年前

今だから分かる、アジアカップ時の言葉に隠された本田圭佑の実現力

ザックジャパンが苦戦の末手にしたアジアカップ。本田圭佑はその大会でMVPを獲得したが、まったく満足していなかった。彼は常に上を見ていた。そして振り返ると、今の本田に通じる実現力が言葉に表れている。

text by 元川悦子 photo by Kenzaburo Matsuoka

「とにかく自分たちがいい感覚でやることが大事」

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「トップ下は自分のポジション」【写真:松岡健三郎】

 2010年南アフリカW杯での衝撃的2ゴールで一躍、日本代表のスターに成り上がった本田圭佑。岡田武史監督時代は1トップや左右のサイドMFなどさまざまな役割を担ったが、ザックジャパン発足後はトップ下に定着。

 本人も「やっぱりトップ下が自分のポジションだと改めて思った。あそこでもっと自分を磨きたい。個人的に楽しいし、ボランチが2人後ろにいる居心地のよさは全然違う。俺がもっと足が速かったらトップを目指していたかもしれへんけど、自分はスピードが足りひん。トップとボランチの間なんですよね」と起用法に満足していた。

 一番やりたかったポジションで挑んだ初めてのアジアカップで、本田はアジア王者奪還を貪欲に目指していた。カタールに乗り込むや否や「相手がどこでも優勝するだけ」と気合を入れた。

 9日の初戦・ヨルダン戦から積極的にゴールを狙う姿勢が見て取れた。スキあらば遠目からのミドル、FKなど得点機をうかがう。だが、日本は遠藤保仁と吉田麻也のミスが重なって失点。後半も強固な守備ブロックを構築する相手を打開しきれない。吉田の劇的な同点弾は本田が藤本淳吾と交代し、ベンチに下がった後に生まれた。

「今の個じゃヨルダン相手でもそう簡単にやれていなかった。ここから上へ行けばもっと難しくなるんで、オレと(香川)真司だけじゃなくて、FWも含めて前の選手がポジションチェンジを繰り返しながら自分たちのよさを出していくことが絶対に必要な部分だと思います。

 とにかく自分たちがいい感覚でやることが大事。距離感を縮めたり離れたりして、どうなるのかってのも見てみたいですし、基本的には変わりなく続けることが大事。1試合ダメだったから変えるようじゃ話にならないから。

 オレも真司も点を取れなかったことでお互いに飢えてるし、(前田)遼一、(李)忠成含めて、発していけばいいんじゃないかと思います」と翌日の練習後、本田は思いのたけを存分に話し、奮起を誓った。

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