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日本代表 10年前

「サッカー人生を10年前からやり直したい」。海外組の意識の高さに大きな衝撃を受けた前田遼一

text by 元川悦子 photo by Asuka Kudo / Football Channel

「あんまり守備のことを褒められるのは好きじゃない」

「オカの2点で相手の気持ちが切れた部分があるので、苦しい時間で自分が点を取れるようにしたいです。試合を重ねるごとにみんなのやりたいことも分かってきた。それも大きいと思います。

 オカは動き出しがすごく早いので、僕がスペースに入ることもできるし、やりやすかった。ダイレクトのプレー前より多くなった。早いテンポでボールが回っていてやりやすかったですね。誰が出てもしっかり動いて相手のスペースを突いていければ、いい試合ができると思います」と前田は岡崎との連携向上によって、自分本来のパフォーマンスを出せるようになってきたと考えていたようだ。

 この活躍で代表における地位が少しは上がったかと思われたが、21日の準々決勝・カタール戦で吉田麻也が退場すると、またも岩政大樹との交代を告げられる。25日の準決勝・韓国戦では値千金の先制弾を奪い、チームに活力を与えたが、延長前半7分に細貝萌の勝ち越し点が生まれた直後に本田拓也と代えられてしまう。

 前田がチームの大黒柱という位置づけであれば、守備固めの必要性が生じても、下げられることはなかったはず。「もっと出られるように頑張ります」というコメントを繰り返していたのも、やはりどこかに不完全燃焼感があったからだろう。

 大会のラストとなる29日の決勝・オーストラリア戦でも、前田は前線で体を張って起点を作ったが、連続ゴールは奪えなかった。そして延長前半8分に李と交代。その李がシンデレラボーイに躍り出ることになった。

「FWでやっているのに、あんまり守備のことを褒められるのは好きじゃないんで…。結局はいくら守備ができても、ゴールを決められなかったら試合には出れないんで。今まで代表に定着できなかったのもそういうことが大きかったと思います。チームでも何度もケガしたりとか、シーズン通して戦えてないことが多かったから」と前田は反省しきりだった。

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