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日本代表 10年前

代表での“ポスト遠藤”だった家長昭博「ボランチのプレーが何なのか、正直分からない。感覚でやれればいい」

text by 元川悦子 photo by Kenzaburo Matsuoka

「全然やったことのないポジションなんで、全部気をつけないといけない」

 そんな未完の大器が2011年3月・6月の代表シリーズで久しぶりにA代表入りしたのだから、注目度は嫌がおうにも高まった。

「本田とは話しましたけど、普通の会話ですね。感情が高ぶるとか何もないです。知ってるメンバーも多いし、周りとの関係は大丈夫だけど、戦術理解はまだ時間がかかると思います」と本人は至って淡々としていた。

 これまで年代別代表では左ウイングやFWなど攻撃的なポジションで使われていたため、ザック監督もその起用法を踏襲すると思われたが、練習が進んでいくうち、彼がボランチでプレーすることが増えていく。

 岡田武史監督率いる日本代表時代から遠藤保仁と長谷部誠のボランチコンビが鉄板と見られてきたが、指揮官も世代交代の必要性を感じていたのだろう。「彼にはセントラルMFでやっていける才能がある」と発言するなど、ボール扱いでは遠藤以上とも言われる家長をこのポジションで使う色気を見せ始めた。

「ザックさんから言われたのは、いろんな場所にボールがある時のポジショニングとかですね。ボランチの選手は『攻撃の時にこういうポジションを取れ、守備の時はこういうポジション取れ』っていうベーシックなことを言われてるだけ。

 チームとしての決まりごとをしっかりやるのが大事じゃないですか。僕としては使われたらそこでやるだけなんで、どこでもいいです。ただ、全然やったことのないポジションなんで、全部気をつけないといけない。

 まだまだ練習しないと実戦でうまいことできないと思うんで、今はいろんなことを試して感じて次の日に生かすという段階じゃないですか」と家長自身、実は手探りの状態だったのだ。

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