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日本代表 10年前

代表での“ポスト遠藤”だった家長昭博「ボランチのプレーが何なのか、正直分からない。感覚でやれればいい」

text by 元川悦子 photo by Kenzaburo Matsuoka

運が悪かったとも言えるが…

 練習を重ねて少しずつ約束事を覚えつつあった家長がボランチとしてピッチに立ったのが6月のチェコ戦だった。後半19分に遠藤と交代し、長谷部とコンビを組むことになった。前線に比べるとボランチの位置はプレッシャーが緩いため、家長が思い通りにボールを持てるシーンは何度か見られたが、課題の守備ではやはり穴を作ってしまう。

 代表レベルで初めてこのポジションでプレーしたのだからやむを得ない部分もあったが、長年の盟友である本田らに指示を受けながら、動きを修正するのに四苦八苦してしまう。その一挙手一投足から窮屈さややりづらさが見て取れた。

 結局、ボランチ・家長が実戦で試されたのはこの日だけ。賛否両論は確かにあったが、3月の2連戦とコパアメリカの強化期間があったなら、彼を試運転する機会を増えたはずだ。もしそうなっていれば、彼なりに課題を修正し、ザックジャパンの戦力として期待できる選手になっていた可能性もある。

 運とタイミングが悪かったと言えるが、プロである以上数少ないチャンスをものにしなくてはならない。盟友の本田圭佑も幾多の試練を乗り越え、ついにミランで10番を背負うまでになった。

 現在27歳になったが、まだチャンスがないわけではない。天才と言われ続けた男の再起に期待したい。

【了】

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