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日本代表 10年前

ザックジャパン回想録。早くから代表に招集されるも初キャップが遠い、宇佐美貴史

若くして才能を見出され、「天才」と呼ばれた宇佐美貴史。代表にも早くから呼ばれ、バイエルン・ミュンヘンに移籍するまでは良かったが、その後伸び悩んだ。未だに代表でのキャップはゼロ。逆転でのW杯メンバー入りはあるのか?

text by 元川悦子 photo by Asuka Kudo / Football Channel , Ryota Harada

19歳にして代表招集された宇佐美

 ガンバ大阪ジュニアユースに所属していた頃から「怪物」「天才」という名をほしいままにしてきた宇佐美貴史。U-13から年代別代表を総なめにし、17歳だった2009年にG大阪トップに昇格。

ザックジャパン回想録。早くから代表に招集されるも初キャップが遠い、宇佐美貴史
宇佐美貴史【写真:工藤明日香 / フットボールチャンネル】

 2010年にはJリーグベストヤングプレーヤー賞を受賞し、バイエルン・ミュンヘン移籍がささやかれていた若武者にザッケローニ監督が目をつけるのは当然のなりゆきだった。

 2011年6月のペルー・チェコのキリンカップ2連戦で、指揮官は宇佐美を日本代表に初招集。

「彼は19歳にしては素晴らしいものを持っているが、現時点ではA代表ではなく五輪代表という認識だ」とザックはあくまでテスト的な抜擢であることを強調したが、「今回はある程度、長い時間があるので、手元に置いて見てみたい。宇佐美には輝かしい未来が待っていると思うが、それは彼の努力次第だ」と期待を込めて語った。

 合宿開始から準備時間がわずかしかなかった初戦・ペルー戦は案の定、宇佐美に出番は訪れなかった。何としても試合に出るため、彼はザックジャパンの4-2-3-1と3-4-3の基本コンセプトを懸命に頭に叩き込きこもうとしていた。

 ボールを持ったらピカイチだが、守備面やオフ・ザ・ボールの動きが課題といわれた選手だけに、細かいディテールにこだわるザック監督サッカーに戸惑いをのぞかせたのも事実だ。

「監督のやりたいことを理解しつつ、ちょっとずつ持ち味を出せているのかなと感じます。自分の一番の持ち味は突破するプレー。代表は寄せの速さとかプレースピードが違うけど、そのスピード感に慣れればやれると思ったし、通用するという自信も持てた。

 イメージは確実に増えてきましたし、日に日によくなっているのかなと思います」とチェコ戦2~3日前には前向きな手ごたえを口にするようになっていた。

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