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高校サッカーのレベルは上がっているのか? 選手権からわかる日本サッカーの底上げ

冬の定番となった高校サッカー選手権。視聴率も高く、世間一般の関心も多い。だが、Jクラブのユースが充実するにつれ、「選手がそちらに流れる」「いい選手は少なくなっている」という懸念もあるのではないだろうか。果たして高校サッカーのレベルは以前と比べて上がっているのだろうか。

text by 川端暁彦 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

高校サッカー選手権のレベル

「高校サッカー選手権のレベルは上がっているのか?」

高校サッカーのレベルは上がっているのか? 選手権からわかる日本サッカーの底上げ
第92回全国高校サッカー選手権大会公式ホームページ

 毎大会ごとに聞かれる定番のフレーズとも言えるが、それだけ関心が高いということなのだろう。今回、編集部から振られたお題も、まさにこれだった。

 現場でも似たような会話が交わされることはある。ただ、何をもって「レベル」というのかの定義付けが曖昧だと、この議論は噛み合わない。たとえば「大久保嘉人のようなJリーグ即戦力級の怪物がいない」という点をもって「レベルが低い」と嘆く方がいれば、「蹴ってばっかりのサッカーだ! レベルが低い!」と怒り出す方もいる。

 前者の視点ではチームとしてどういうサッカーをやっているかという点は重要でないし、後者の視点からすれば、たとえ大久保嘉人がいても「レベルが低い」という結論になるだろう。

 この議論はちょっと難しい。個人的には、“馴染まない”。

 どちらの言い分も、そのロジックの背景にあるのは「選手権のレベル=日本サッカーのレベル」という漠然とした認識であり、「選手権にタレントがいない=日本の高校年代にタレントがいない」。「レベルが低い=日本サッカーの危機」という発想だ。

 だが、そもそも本当にそうなのだろうか?

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