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内田篤人 10年前

ドイツ人記者が記憶する内田篤人の言葉。「南アは悲しかった。でも、僕をさらに強くした」

text by フランソワ・デュシャト photo by Ryota Harada

日本代表選手の肩にかかる期待

 ただし、だ。ピッチ上でも内田は才気溢れる選手だと言えるが、私の目にはサイドバックのポジションで傑出した存在には映らない。シャルケでは結果を出し、インターナショナルクラスである。一方で、ワールドクラスではない。

 高みに到達するは、いま以上の成長が必要である。例えば、現在ハーモニーを奏でているファルファンとのコンビネーションのように、チームで誰がパートナーとなるかで大きな影響を受けていることが言えるからだ。

 それでも人間性の点では、シャルケにとって内田の獲得は“真の勝利”に他ならない。チームにおける雰囲気づくりにも、彼は重要な存在だと思える。

 内田へのインタビューは2012年の終盤だった。

 彼から日本代表選手の肩にかかる期待の高さを聞いた時、我々は驚かされた。

 極東の国のサッカーは、当然まだ発展途上である。これまでの最高成績は、2002年に韓国代表がW杯でベスト4という躍進を果たした時のことだ。ただし、ホームでのこと。ヨーロッパの代表チームが南米大陸で苦労することはよく知られている。彼の地はヨーロッパのチームにすら、W杯を掲げたさせたことはないのだから。

 日本は現時点のアジア最強チームであり、この地域で最大の発展を遂げたチームの一つである。ただ本戦の活躍だけは、抽選会での運次第だろう。それでも、「サムライ・ブルー」は今年11月に行われた国際親善試合で、大きな驚きを与えてくれた。

 ヨーロッパサッカー連盟(UEFA)でも上位にランキングされている二ヶ国との対戦で、オランダとは2-2で引き分け、ベルギーには完全アウェイの中で3-2と勝利した。EURO2012以降、世界で最も安定性を誇っていたチーム相手に、見事な結果を残したと言える。

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