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内田篤人 10年前

ドイツ人記者が探る、内田篤人がシャルケで愛される理由

text by ダビド・ニーンハウス photo by Ryota Harada

「ドラクスラーは、ずっと僕のことをからかい続けるんです」

 今季開幕前には、こんなシーンも目撃された。開幕前のクラブ公式イベントで、内田はW杯予選突破に対するサポーターからの拍手に応えようとした。数千人のファンの前でマイクを握ると、間に「ダンケ(ありがとう)」を挟みながら「ふざけんな」と2度も口にして、すぐにマイクを離してチームメートのティム・フーフラントの影に隠れた。

 このおかしな一幕に、同僚のセアド・コラシナツは「ふざけんな、だって!?」と笑いをこらえることができなかった。これに関しては、ジョエル・マティプが内田に吹き込んだとの噂が出回っている。だが、本当にマティプにかつがれたものなのか、あるいはそれを逆手にとった意図的なものなのか、Youtubeの動画を見ても、ファンはいまだ判別できずにいる。

 シャルケファンは、内田のこんなお茶目な一幕を、悪くとらえてなどいない。むしろ、その反対である。では、内田の“(ピッチ外での)守備”はどうなのだろうか?

「ロッカールームでは、ユリアン・ドラクスラーが隣に座っています」と話す内田は、こう付け加えることも忘れなかった。「ドラクスラーは、ずっと僕のことをからかい続けるんです」。稀有な才能を持つ攻撃的MFの前には、内田もたじたじなのかもしれない。

 ドイツ代表にも選ばれるドラクスラーは、チーム内で内田の一番の友人である。あるスポーツ雑誌によると、内田はパーティーが終わった後でさえもドラクスラーの家のソファに居座り続け、その様子は「学生寮のようだった」とされている。

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