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本田圭佑 10年前

効いていた右サイドでの動き。セードルフ監督が本田をトップ下に置かない戦術的な理由

サンプドリア戦で先発フル出場を果たした本田圭佑。守備で奮闘し、チームの勝利に貢献したが、まだ連携面では改善の余地があり、何よりカカー欠場でなぜトップ下で出場しなかったのか、疑問は残る。それを解き明かすべく、戦術面より迫ってみたい。

text by 神尾光臣 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

サンプドリアの交代が意味するもの

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相手の交代を引き出した本田【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 サンプドリア戦の後半1分、ミハイロビッチ監督は「ミランに上回られ、ミスが多くひどかった」という前半の闘いを修正するため、最初の交代カードを左MFに費やした。ウイングタイプのヴショウェクを下げ、本来はセントラルMFでカバーリングにも長けるソリアーノを投入した。

 実はこれは、本田が右サイドでうまく動いてボールに触り、展開を動かしていたことの現れでもあった。12分、本田はここから前方のスペースに流れてきたサポナーラにパスを出し、1点目の展開の起点となっている。ただこの場合、肝心なのはその少し前からの流れだ。

 10分、縦のスペースに深く侵入し、そこから展開を作る。11分、今度は逆にスペースを閉じられたら少し引き気味にポジションを取り、逆サイドに走りこむターラブへサイドチェンジを狙っている。

 その1分後に起点となるプレー自体は、単にサポナーラへ繋いだということだけなのかもしれない。ただそれは本田が右サイドで巧みにスペースを使い、揺さぶった流れから生まれたものだった。

「サイドで組み立て、逆に揺さぶって刺す」というプランは、練習から準備されていたのかもしれない。本田はこの後も何度かサイドでボールを触り、逆サイドへ展開するということを試みていた。もちろん前が向ける時には、前線のパッツィーニへパスを出したり、絞ってシュートを狙ったりしている。

 このスペースを閉めなければならなかったのが、ヴショウェクだったのだ。彼は守備において常に本田の後手に回った。攻撃では脅威をもたらすことが出来ず、それどころか本田がしっかり引いて守備をするものだから、左SBコスタの連係も切られっぱなしだった。

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