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跳ね上がる金額、使途不明金、スカパーの撤退。W杯放映権料ビジネスの闇に迫る

text by 藤江直人 photo by Getty Images

違法判決でも弾けないバブル

 ヨーロッパ連合(EU)の最高裁判所に当たるヨーロッパ司法裁判所は昨年7月、イギリス国内におけるW杯などの完全有料放送は違法として、FIFAの上告を棄却している。

 もっとも、誰もが自由に情報を得られる「ユニバーサル・アクセス権」が確立されているイギリスならではの判例、と受け止める向きは少なくない。巨額なマネーを生み出す放映権バブルが弾ける事態には至らないだろう。

 前回の南アフリカ大会において、民放連全体は赤字を計上している。五輪中継を含めて、JCが組織された1992年以降では初めての事態であり、岡田ジャパンへの前評判が芳しくなかったこと以上に、高額な放映権料が大きな影響を与えていたことは言うまでもないだろう。

 ブラジル大会では何とか持ちこたえたが、今後も放映権料の高騰が続けば、2018年のロシア大会では一部しか中継されない事態を招きかねない。

 だからこそ、高視聴率を前提に広告料収入を増やしていく意味でも、ブラジル大会に至るまでのザックジャパンの成否が大きなカギを握る。ドル箱となる日本戦を外したフジテレビは日本時間6月29日の決勝トーナメント1回戦の、TBSは同7月6日の準々決勝と10日の準決勝の中継権を獲得した。いずれも日本が勝ち進めば登場する可能性があるカードという点に、テレビ局側の切実なる願いが込められている。

【了】

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サッカー批評 ISSUE66

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