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Jリーグ 10年前

浦和レッズへの無観客試合処分は妥当か? 英国人が見た「JAPANESE ONLY」と日本における差別意識

text by 海老沢純一 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography , Kenzaburo Matsuoka

「この事件を読んだ人には、これしか頭に残らない」

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【写真:松岡健三郎】

――浦和レッズは、これまでもサポーターが問題を起こすことがありました。なぜこのように多くの問題が起こるのでしょうか?

「レッズのようなクラブに起こるのは、確率として高い。レッズの行動ではなく、人気があり、お客さんがたくさん集まるから。その中にはいろんな考え方を持った人がいるのは当然です。

 仮にJ3のチームだったら、誰も気付かなかったかもしれない。レッズがサッカーを色々な意味で最先端を走っているからこそ、皆のための犠牲になるようなことも時々起こると思います。

 ただ、こういうサポーターは来ない方がクラブのため。『そんなサポーターはいらない』と、はっきり言えた方がいいですね。興奮している人が集まると問題が起こる。それは避けられない部分があります。

 でも、繰り返すことは無いと思いますよ。違う形の問題が出たら、また教訓にしなければならないでしょうけど。でも、今回は皆の意識に残る教訓になったと思います」

――この事件によって、海外諸国が日本に悪い印象を持つ可能性はあるでしょうか?

「これは、日本が悪いか良いかという話ではないと思います。でも、日本に都合の悪い話ではありますね。事件の記事を新聞で読んだ人は世界的に多勢いると思います。

 これまでの20年間、ほとんどの試合で何の問題もなかったことについての記事は一人も読んでいないでしょう。そして、この事件を読んだ人には、これしか頭に残らないし、これは日本に常にあることだと思い込んだ恐れがあります。

 日本が差別国として評判が広がる可能性もあります。隣同士の国だったら、例えばイギリスとフランスだったらこういう事件があっても、大した問題にはならないでしょう。イギリス人は常にフランスへ行っているし、フランス人は常にイギリスに来ている。個人レベルで数多く行き来しているので、他の記憶が沢山ありますからね。

 日本は、昔よりは馴染みがありますが、ヨーロッパから遠い国ですから、この情報しかないかもしれません。まあ、“しかない”というのは大げさですが。

 でも、わずかな情報しかない中で、こういう情報は日本にとって、非常に都合が悪い。そのことについても、日本は非常に厳しく対応しなければならないでしょうね。特に、韓国と中国に対しては都合の悪い事件でしょう。向こうに何人かの人々がわざと操作するかもしれないし、写真を悪いように使うかもしれない。

 日本のイメージダウンは避けられないでしょうね。悪い面を見せると、その面しかと思われることが困りますね」

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