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アジア 10年前

就任はなんと開幕1週間前。弱冠29歳、タイプレミアリーグで奮闘する日本人GM

今季、タイでは60名近くの日本人選手がプレーしている。また、元ヴィッセル神戸監督の和田昌裕氏がチョンブリFCの監督に就任するなど、指導者においても日本人の活躍の場が広がっている。それだけでなく、ゼネラル・マネージャー(GM)としてフロントの場で奮闘する日本人もいる。

text by 長沢正博 photo by Masahiro Ngasawa

タイ最北の県に本拠地を置くチェンライ・ユナイテッド

就任はなんと開幕1週間前。弱冠29歳、タイプレミアリーグで奮闘する日本人GM
手前がGM鈴木勇輝氏、奥は杉本恵太選手【写真:長沢正博】

 タイの首都バンコクから北へ約800キロ、飛行機を利用すれば約1時間20分。ミャンマーやラオスとも国境を接するタイ最北の県チェンライに、タイプレミアリーグのチェンライ・ユナイテッドが本拠地を置いている。2009年の創設後、ディビジョン2、ディビジョン1をそれぞれ1シーズンで昇格。現在、トップリーグで4シーズン目を迎えている。

 このチェンライ・ユナイテッドのフロントに昨年から入り、今年はゼネラル・マネージャー(GM)として奮闘しているのが、日本人の鈴木勇輝氏(29歳)だ。

 鈴木氏は静岡県浜松市出身。元々サッカーが好きで、高校卒業後にアメリカへ渡り、大学でスポーツ・マネジメントを学んだ。だが、すぐにスポーツの世界に入り込めたわけではなかった。「大学卒業後、サッカークラブで働きたいとずっと仕事を探していました。でも、すぐにスポーツ関係の仕事は見つからなかったです。生活をつなぐために現地の一般企業に勤めながら、探しました」

 その後、日本に帰国してフットサルのFリーグ・アグレミーナ浜松に1年ほど勤務。そんな中、2012年、タイで開催されたフットサルW杯を観戦に訪れる。タイプレミアリーグの試合も見る機会があり、タイに興味を持つようになる。

「自分のCV(履歴書)は世界中のチームに送っていました。タイのチームにも送って、その中でチェンライ・ユナイテッドが一番初めに興味を持ってくれました」。コネクションも何もない中で、固いドアをこじ開けるようにして掴んだチャンス。でも、そこはタイ。すんなり決まったわけではない。CVに対する返事が来たのは数カ月後、2013年になってからだった。

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