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ドイツとバルサの融合、ペップによる王者バイエルンの変革。戦術の鍵“偽2番”“偽5番”とは?

text by 清水英斗 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

興味深い、ティキ・タカ対戦。来季のバイエルン対バルサに期待

 興味深いのは、お互いのフィニッシュブローだ。バイエルンが得意とするクロスやセットプレー、すなわち昨季の長所を引き継いだフィニッシュブローは、小兵が多いバルセロナの急所を突く。

 その一方、ネイマールを加えた今季のバルセロナは、カウンターアタックの割合が増加。昨季のバルセロナは全115ゴールのうちカウンターから生まれた得点が4ゴールに留まったが、今季は前半戦の54ゴールのうち、すでに7ゴールがカウンターから生まれている。

 来季、マルティーノ体制が継続されるかは不透明だ。しかし、今後対戦する機会が訪れた時には、マルティーノ体制によって少しの変化が生まれたバルセロナの速攻が、バイエルンのDF陣を苦しめる可能性は高い。すなわち、この対戦において、お互いの長所はそのまま相手の弱点となる。興味深い、ティキ・タカ対戦だ。

 いずれにせよ今季、この短い期間でペップがバイエルンの変革をここまでスムーズに進めたことには驚きを禁じ得ない。ドイツサッカーとバルセロナ哲学。まるで水と油のようにも思える取り合わせが、見事な融合を果たした。

 しかし、ペップは、現状維持を好まない監督でもある。一旦、形が出来上がったチームにも、改革の手を加えることを止めないだろう。来季以降も目を離すことができない。

【了】

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