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アジア 10年前

小野伸二、豪州ラストゲームは悔しい敗戦。現地に浸透した「Shinji Ono」、築いた確かな功績

2年間に及ぶオーストラリア・Aリーグでの戦いを終えた小野伸二。最大の目標だった「ファイナル制覇」は叶わず、失意のままオーストラリアを離れた。ACL広島戦を最後にウェスタン・シドニー・ワンダラーズから退団する。

text by 植松久隆 photo by Taka Uematsu , Nichigo Press

無念の途中交代。小野伸二のオーストラリアでの最終戦

 小野伸二が、2年間のオーストラリアでのプレーの集大成として臨んだAリーグ・グランド・ファイナル2014。小野のウェスタン・シドニー・ワンダラーズ(WSW)は、ブリスベン・ロアとの120分に渡る死闘の末、1-2で敗れ、2年連続でファイナル制覇目前での悔し涙にくれた。

 小野のWSWでの2季目のモチベーションのすべては、「ファイナル制覇」にあった。その大目標が、達成目前で手中から滑り落ちただけにそのショックは大きい。しかも、小野は試合終了の瞬間をピッチの外で迎えた。

 この日、攻守にわたって獅子奮迅の活躍を見せていた小野は、トニー・ポポヴィッチ監督が切った3枚目のカードにより、大事な試合から途中で退くことを余儀なくされた。

 この交代は、この日の小野の出来や試合の重要性を考えると、試合後に言葉を交わした多くの人々が「シンジの交代は理解できない」と口を揃えたように不可解なものだった。 

 実際、この交代で中盤のバランスを欠いて攻め手を失ったWSWは、直後にロアに追いつかれ、試合の主導権を失ってしまった。一旦、逃した流れは再びWSWに戻ることなく、ロアに延長戦後半に劇的な勝ち越し点を許しての惜敗へと繋がった。

 ここでポポヴィッチ監督の采配を非難する意図はないが、タイトルの重要性を鑑みて、あの交代は妥当だったのかとの疑問は残る。

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