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日本代表 10年前

日本代表は“守り切る”守備ができるか? イタリア人監督に聞くディフェンス文化と成熟度

日本代表は最近の3試合で9得点を奪っているが、同時に6失点を喫している。失点を振り返ってみると、そこに個人のミスが絡んでいることが少なくない。ザッケローニ監督と同じイタリア出身の二人が、日本代表のディフェンスについて語り合った。

text by チェーザレ・ポレンギ photo by editorial staff

日本のDFには個人戦術が欠けている

――日本で指揮を執られてまだ日が浅くはありますが、日本とイタリアのディフェンスを比べて何か目立った違いがあるとは感じますか? システムなどという意味ではなく、特に守備へのアプローチや意識という面に関してですが。

フィッカデンティ監督(FC東京、以下略)「イタリアというか欧州全般と比べてですが、日本のDFはもっと個人戦術の面を伸ばす必要があるというのは感じますね」

日本代表は“守り切る”守備ができるか? イタリア人監督に聞くディフェンス文化と成熟度
FC東京・フィッカデンティ監督【写真:フットボールチャンネル編集部】

――なるほど、個人戦術ですか。具体的には?

「チームとしては決められた動きをするものですが、試合の流れの中では個々のDFが判断をしなければならない場面があります。ポジション取りとか相手への対応とか、ボールを奪いに行くタイミングとか…。その瞬間には指示を出す監督もいないし、ホワイトボードもビデオもないし、自分で考える時間すらもありません。

 一瞬の判断で、直感的な選択が必要になります。そういった局面の判断に関して欧州のDFの方が、DNAレベルでより経験が根づいていると感じさせます。そこはゆっくりとでも成長させていかなければならない部分だと思います」

――ザッケローニ監督が以前に言っていたことなんですが、日本代表の失点が多かったとしても、人数が揃っていない状態を作られているわけではなく、ほぼ全てが個人のミスを原因とする失点だと。そのミスを引き起こしているのが、個人戦術の不足の部分ということになるかもしれません。

「ディフェンスでミスが起こったとしても、必ずしもDFのミスではなく中盤に原因があるかもしれません。いずれにしても、失点の全てが守備の戦術に起因するわけではありません。個人のちょっとした軽率さが試合を決めてしまうこともあり得るので、そこはしっかりと取り組む必要があると感じています。

 危険な場所、危険な状況を危険だと感じられる感覚を身につけることが重要です。あるエリアではやっていいプレーでも、エリア付近では絶対にやるべきではないということもあります」

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