フットボールチャンネル

日本代表 10年前

日本代表GKコーチが語る聖域なきポジション争い。守護神に求められる“3人が試合から消えない”こと

text by 河治良幸 photo by Getty Images

“第3GK”という立場でも意欲十分の権田。高い意識を持って取り組む

 ただし、90分間をオーガナイズする意識とビジョンでは川島も負けていない。

日本代表GKコーチが語る聖域なきポジション争い。守護神に求められる“3人が試合から消えない”こと
2人を追いかける立場の権田も彼なりのビジョンと意識で大会に向けた練習に取り組んでいる【写真:Getty Images】

「ただ止めるだけじゃなくて、ゲームの重要な場面でどういう仕事ができるのかっていうことが求められる部分でもあるし、やはりW杯の中でもそこは大切」と語る川島は流れが良い時、悪い時それぞれを頭に入れてDFラインの背後を統率し、来るピンチに備えられるGKだ。

 実績としては2人を追いかける立場の権田も彼なりのビジョンと意識で大会に向けた練習に取り組んでいる。

「競争だから特別なことを何かやるとか、何かスーパーなことをやるとかじゃなくて、しっかりやり続けることしかないと思う」と前置きしながら、3人が常に向上心を持って練習に取り組み、試合をイメージし続けることの大事さを主張する。

「試合に出ている選手、出ていない選手が大会には出てきますけど、『出ているから俺はちょっと練習を何となくやる』とか、『出ていないから試合のイメージを持たないでやる』じゃなくて、全員が試合で良いプレーをするんだというところからの逆算で練習することができれば、チームの中でのムードも上がっていく」

 思い返せば前回は“第3GK”としてチーム最年長の川口能活が最終メンバーに滑り込み、精神的な支柱として影からチームを支えた。現在も“第3GKにはベテランを”という意見は少なからず目にしている。

 しかし、権田は優勝した2011年のアジア杯でもザッケローニ監督が名前を出して賞賛するほど、意欲的な姿勢を示し続けることで、練習の雰囲気を高めていた。

 そこから翌年にはロンドン五輪で守護神としての役割を担い、良い経験も苦い経験もしてきた権田にとって、出場は東アジア杯の1試合しかないものの、非常に密度の濃い4年間だったと考えられる。

1 2 3 4

KANZENからのお知らせ

scroll top