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日本代表 10年前

遠藤保仁はなぜボールを奪われないのか? 今野泰幸が語るヤットのすごさ

text by 西部謙司 photo by editorial staff

「パスを入れた後の展開まで考えていますね」

――パスについては?

遠藤保仁はなぜボールを奪われないのか? 今野泰幸が語るヤットのすごさ
遠藤保仁には選択肢が何個もあるという【写真:工藤明日香 / フットボールチャンネル】

「サイドキックが正確すぎる(笑)。味方が受けやすいボールを蹴りますね、どっちの足に出したらいいかとか、凄いなと思いますよ。それでいてスルーパスも出せますしね」

――クサビを入れるときも、味方と敵の関係とか、周囲の動きとか、かなりいろんなものを見ながらパスしているようですね。

「パスを入れた後の展開まで考えていますね。パスを出して、それを受けた選手がサポートした味方に落として、それから裏でしょと。そこまで見てパスを入れている。だからチャンスになる確率が高い。そこまで予測しているので、逆に無理矢理な展開もないですね」

――パスの受け方はどうですか?

「常に相手の間にポジションをとっていて、センターバックからのパスコースがなくならないような位置にいてくれます。僕のポジションからすると助かります」

――ちょっとパスを出すのを躊躇したくなる場所にいるときでも、けっこうボールを要求するタイプですよね。遠藤さんは「寄こせ」と言うけど、ボール持っている選手からは相手が寄せてくるのが見えるので、出していいのかな、と。

「それはもう、次の展開が見えちゃってるから。ヤットさんには選択肢が何個もあるから、出しちゃっていいんです。最悪、ボールを失わないという前提があってのことです。選択肢がない人なら『パス来ないで』と思ってしまうこともありますけど、ヤットさんにはない。明らかに厳しい状況でも何とかしてしまう」

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