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“大物食い”の伝統あるクロアチア。W杯開幕戦、ブラジル撃破へ自信「完全に分析した」

いよいよ明日早朝(日本時間)に開幕するブラジルW杯。開催国ブラジルに注目が集まるが、対戦相手のクロアチアは虎視眈々とサプライズを狙っている。そこまで評価の高くない彼らだが、実力は十分。選手・監督は自信をみなぎらせている。

text by 長束恭行 photo by Yasuyuki Nagatsuka

大国相手に強いクロアチア

“大物食い”の伝統あるクロアチア。W杯開幕戦、ブラジル撃破へ自信「完全に分析した」
ユーロ2008のドイツ戦に勝利して喜ぶコヴァチ【写真:長束恭行】

 サプライズの舞台は整った。相手はW杯開催国、それも優勝の大本命との開幕戦。昨年12月の抽選会でブラジルを引き当てた瞬間、クロアチアの誰もが武者震いした。それは恐れからではなく、感情の高ぶりからだ。主将のダリヨ・スルナはこう語る

「僕らは小さくとも美しい自国のために戦う。同時に試合も楽しまねばならない。世界中の人々がクロアチアを開幕戦で観てくれることを意識しなくてはね」

 1991年の建国以来、クロアチアは常に「大物食い」を伝統にしてきた。人口430万人の小国だけに、大国が相手になると「威信」という名のスイッチが急に入る。ユーロ1996予選のイタリア戦、フランスW杯準々決勝のドイツ戦、日韓W杯グループステージのイタリア戦、ユーロ2008予選のイングランド戦、ユーロ2008グループステージのドイツ戦……。

 ユーロ2012グループステージのイタリア戦やスペイン戦だって、ハワード・ウェブやヴォルフガング・シュタルクが笛を吹かなければ、少なくともファイナリストの一つを沈めることができた。

 今大会のクロアチアは、スラヴェン・ビリッチ監督が完成させたユーロ2012のチームの強化版だ。FWマリオ・マンジュキッチはバイエルンの二年間でタイトルを総なめし、MFルカ・モドリッチもレアル・マドリーの「デシマ」(CL十冠)に貢献した。

 MFイヴァン・ラキティッチはセビージャでのEL優勝を置き土産に、来季からバルセロナのユニフォームを着る。インテルで覚醒し始めたMFマテオ・コヴァチッチのドリブルは敵を大混乱に陥れ、おそらく本大会では最優秀若手選手賞の最右翼になるだろう。

 2年前は故障でユーロ出場を逃したFWイヴィツァ・オリッチとDFデヤン・ロヴレンも絶好調。個々の能力でいえば、初出場3位に輝いた16年前のチームと肩を並べたと言っても過言ではない。

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