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香川真司はなぜ試合から“消えて”しまうのか? 劣勢の中でも存在感を示す本田圭佑との違い

text by 河治良幸 photo by Getty Images

本田と何が違うのか?

 逆サイドの岡崎が守備に引っ張られたことも香川の武器を減らすこととなった。「左サイドで作って右の岡ちゃん(岡崎)が仕留めるのが日本の形」と内田は良く説明するが、その仕留める岡崎がタイミング良くDFラインの裏を突けなかったことで、香川の選択肢が狭まってしまったのだ。

 ただ、現在の香川の課題はそうした苦しい状況にはまってしまい、流れを変えることができないことにある。パーソナリティの不足。それこそが本田との違いを生んだ最大の要因だ。結局、トップ下にポジションを変えても、疲労の影響もあったとはいえ相手の守備を打開する動きを個でもコンビネーションでも出せなかった。

 パーソナリティというのは具体的に表現しにくいが、味方の意識を引き付ける求心力のようなもの。それを本田のように強い意志で引き出す選手もいれば、元フランス代表のジダンの様に圧倒的な能力と落ち着きで引き付けてしまう選手もいる。味方に対する求心力は敵に対する威圧感ともほぼ一致する。

 ある意味において、香川はまだポジションに関係なく“使われる側の選手”であり、悪い流れを変えるようなプレーをこれまでの4年間でも見せていない。強いて言えば2012年のフランス戦がそれに当たるかもしれないが、チームが苦しい時にグイグイと引っ張っていく、それをポゼッションであろうとカウンターであろうとできる選手になった時、真の中心選手として認められるだろう。

 ただ、現在の日本代表に香川の“覚醒”を待っている時間はない。勝つしかないギリシャ戦は香川が今できる最大限のプレーを発揮するほかない。それだけでもチームとしても個人としても大きなステップを踏み出せるはずだ。

【了】

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