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大会前から蔓延した満足感。日本代表、必然の苦戦。コロンビア戦で求められる「気持ち」でなく「心」の入れ替え

2試合を終えて勝ち点1。この現状に選手たちは「予想外」とコメントしている。しかし、本当に予想外だったのだろうか。この苦戦は既に大会前のコメントから感じ取れていた。

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

大会前から「このチームで戦えたことは幸せだった」

 昨今の日本スポーツ界は世界の舞台で目覚ましい活躍を見せている。なでしこジャパンは2011年のW杯で初優勝という偉業を成し遂げ、翌年の2012年ロンドン五輪では銀メダルを獲得する成果を残した。

 野球に目を向けてみると、2013年こそ敗れたものの06年、09年のWBCで大会連覇という快挙を達成した。

 さらに、ロンドン五輪の団体競技では男子体操団体、競泳男子400mメドレーリレー、フェンシング男子フルーレ団体、卓球女子団体が銀メダルを獲得。さらに、競泳女子400mメドレーリレー、アーチェリー女子団体、女子バレーボールが銅メダルを獲得する活躍を見せた。

 そして、彼ら彼女たちが口を揃えて発言する言葉が「このチームで戦えたことは幸せだった」「1試合でも多くみんなと試合がしたかった」といったものだ。

 当然、試合を観ている我々にもチームの一体感や熱い思いが伝わってくる最高のチームだっただけに、この言葉は心の底から出てきたものだと分かるし、その感動がより一層高まる要素の一つとなっている。

 そして、このコメントにもう一つ共通する点といえば、もちろん「素晴らしい結果を出した後に発せられたもの」と言うことだ。

 しかし、どういう訳かブラジルW杯に臨むザックジャパンの選手たちからもこの言葉が飛び出していた。

 たしかに、4年という歳月を経てこの大会のためにチームを作り上げ、そして厳しい選考を勝ち残った選手たちだけにブラジルの地を踏んだ際には感慨深いものがあったのだろう。

 しかし、まだ本番が始まっておらず、何も成し遂げてはいない状況でこの言葉を耳にしたことには驚きを隠せなかった。

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