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日本代表の停滞を招いたサッカー媒体の堕落。1敗1分は“メディアの敗北”である

text by 植田路生 photo by Getty Images

例えコロンビアに勝利してもメディアとしては敗北

 サッカー界には「サッカーファミリー」という言葉がある。明確な定義は不明だが、同じサッカーを生業にする者、サッカーを好きな者同士、みな家族。そんな意味合いだろうか。それ自体は素晴らしい言葉だ。しかし、信じられないことに、メディアにも「ファミリー」の一員であると思っている人間は多くいる。

 メディアとは公平で、冷静でなくてはならない。取材対象者と“ファミリー”になっては、厳しい指摘ができようもない。もちろん選手に嫌われる可能性もある。だが、それを恐れるばかりにイエスマンになっては、日本サッカーの成長は望めない。

 持ち上げるだけ持ち上げて、大会後に結果が出ないと総叩き。それこそポピュリズムの最たるもので、まったく生産性がない。「ポジティブになるべき」「ネガティブになるべき」、このようなどちらかに傾倒する空気感こそが危険だ。

 真実を正しく報道する。それこそメディアに求められることで、それ以上でも以下でもあってはいけない。たかがメディア、されどメディアだ。ペン1本でできることは限られているが、やるべきことは多い。

 サッカーを追う記者の中にも真摯な姿勢で報道活動をする者は間違いなく存在する。私は何人も知っている。だが、残念ながら大勢に押されている。今はWEBが普及し、多くの人に記事が読まれる時代だ。情熱を持った記者の原稿は、あふれるばかりの“垂れ流し記事”に埋もれることも多い。ある意味、数の暴力。第二の一億総白痴化は近付いている。

 コロンビア戦はどのような結果になるだろうか。もちろん勝利することもあるだろう。その先に進むことも十分可能だ。それは選手・監督の奮闘、そしてサポーターの熱烈な応援によるものに他ならないが、メディアが役割を果たしたからではない(胸を張っていい記者は一部だ)。

 ザックジャパンの4年間の総括は大会後にすべきだ。だが、メディアとしては総括してもいいだろう。自力突破の可能性なく3戦目を迎えた。これはメディアとして敗北の結果と言っていい。

【了】

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