「コロンビアの総合力は他の追随を許さなかった」
――コロンビア、コートジボワール、ギリシャ、そして日本が名を連ねたW杯のグループC。勝ち抜けたのはコロンビア、ギリシャとなったわけですが、この結果は妥当だと考えますか?
ドナドーニ「ピッチ上の結果がすべて。したがって妥当極まりない。そもそも今にして正否を問うこと自体がその理に反すると言えるのではないか。さもなければ果たして何のための予選(グループリーグ)かということになるはずだからね。もちろん、それは何もこのC組に限らない。すべてのグループに共通する。
スペインもイタリアも、ロシアもイングランドも敗れるべくして敗れたのであって、ならばこの組におけるコートジボワールと日本もそう。強いチームが勝ち、弱いチームが負けた。ただそれだけのことだ。敗戦は潔く受け入れなければならない。
そして言えるのは、このC組の場合、コロンビアの力が他を圧倒していたということ。頭ひとつどころではない、レベルの差は数段にも及んでいた。つまり、彼らの「勝ち点9(3戦3勝)」は決して偶然などではないということだ。
いわゆる“質と量”、すなわち技術レベルとフィジカルの両面でコロンビアの総合力は他の追随を許さなかった。だけでなく、いざ攻撃に転じる際の加速、スピードも圧倒的だった。
一方で、その他の3チームに関して言えば、本来の実力からすればコートジボワールが最も高い確率で決勝T1回戦へ駒を進めると見られていたし、他ならぬ私自身も半ばそう信じて疑っていなかったのだが、周知の通り、勝ち抜けたのはギリシャ。
この結果を生んだのは、他でもない、チームとしての“強靭さ”だ。選手個々の技術や身体能力、あるいはチームとしての組織力や監督の采配などが勝敗を決める要素としてまずは考えられるところだが、このギリシャが最後に勝ち抜けるに至った背景には、やはり、先に触れた“強靱性”がある。
選手個々の足下の技術や身体能力などで劣りながらも、彼らギリシャの選手達はひとり一人の内面の強さ、すなわち強靭なる意志で敵を上回ったからこそ勝ってみせた。もちろん、そこには考え抜かれた戦術も見逃せない一面としてあるのだろうが、それを可能にしたのも彼らの精神力によるところが大きいのではないか。つまりは国を背負うという誇り。この部分で僅かでも劣れば国VS国の試合には勝てない」