フットボールチャンネル

バルサ、スアレス獲得の背景。100億超えの移籍金捻出の理由と“噛み付き”によるさらなる波紋

text by 山本美智子 photo by Getty Images

バルセロナはスアレスにとって思い出の地

 チャビにしろ、アウベスにしろ、最後にまだ一花、咲かせてから黄金の引退を、と目論んでいるのだろうから、そんなに安い金額で売れるようなチームを選ぶとは思えない。それなりに、二人はバルサに利益をもたらす方向に動くだろう。

 この二人を放出することで、移籍金のみならず、ベテラン二人の年俸が浮くのだから、FCバルセロナにとってスアレス獲得は端から見るほど、苦しい状況でもないのだろう。とはいえ、もう3年越しの重要課題、センターバックの補強も行わなければならず、バルサの夏は、まだ一波乱ありそうな様相を見せている。

 もとい、注目のルイス・スアレスだが、月曜日の午後には、本人がバルセロナに到着したことが地元メディアに見つかり、空港からバルセロナ郊外の義両親の自宅まで、早速、カメラと共に追跡されることになった。

 スアレスの妻であるソフィアさんの両親は、ウルグアイの経済危機から抜け出し、2002年にバルセロナに移住してきた。当時、スアレスは16才、ソフィアさんは14才。幼い恋人たちは、国境を越えて、スカイプで愛を育み、今は子宝にも恵まれ、幸せな夫婦として過ごしている。

 あの“噛み付き”スアレスにこんな一途で純粋な面があるとは、と驚く人もいることだろう。そんなスアレスが、ソフィアさんに会いたい一心で、必死に働き、貯金をし、バルセロナに初めて訪れたのは、17才になる直前だった。スアレスの運命の歯車は、その時から既にFCバルセロナというチームに向かって回っていたのかもしれない。

1 2 3

KANZENからのお知らせ

scroll top