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岡野俊一郎と金子勝彦が語る日本サッカー(その1)健全な組織の発展妨げた川淵氏の権力増大と院制

text by 藤江直人 photo by editorial staff

原博実氏の技術委員長と専務理事の兼任、馬鹿げている

金子 ジーコ監督に関するお話は、岡野さんから何十回とうかがっております。

岡野俊一郎と金子勝彦が語る日本サッカー(その1)健全な組織の発展妨げた川淵氏の権力増大と院制
岡野俊一郎氏【写真:編集部】

岡野 ジーコが鹿島アントラーズを強くしたのは事実です。しかし、常日頃は自分の手元に選手がいないナショナルチームを率いるには、各クラブとの連携を密にして、選手たちのコンディションを把握しないといけない。

 そのような経験をしたことのない監督にナショナルチームを任せれば、あらゆる面で必然的にコミュニケーション不足が生じる。しかも、ザッケローニ監督の体制下においては、日本人のスタッフが遠慮していたのかどうかは定かではないけれども、首脳陣と選手の間を取り持つべき人間が不在だった。だからインタビューとなると、メディアは本田、長友、香川ばかりに集中する。チームマネジメントが機能していなかった。

金子 選手個々を批判するわけではないけれども、国際的にもある程度の評価を受けた本田と長友、香川の3人が固まって、そうではない選手たちを見下すような風潮がチーム内にあったことは僕の耳にも入っていました。

 他の選手たちにしてみれば気分がいいはずがないし、そうした空気が積もっていけばチームにもマイナスの影響を与えてしまいますよね。これまでは表面化しませんでしたが、W杯本番で苦境に立たされるとどうも雰囲気が変わってきたと、現地で取材している人間からは聞いています。

岡野 今大会の敗因はコンディショニングとチームマネジメントの失敗。選手の力を引き出せなかったザッケローニ監督以下のコーチングスタッフのミスであり、大元をたどっていけば日本サッカー協会の責任として帰結されるわけです。

金子 コロンビア戦の翌日にはザッケローニ監督が辞任を表明しました。

岡野 原君(博実)も強化のトップである技術委員長と実務方のトップである専務理事を兼任するなんて、こんな馬鹿げた話は聞いたことがない。非常識ですよ。どちらか一方を辞めるべきです。

金子 昨年12月に専務理事に就任する前には、僕もやめろと言ったんです。

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