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「独裁的」から「強烈なリーダーシップ」へ。W杯を終え、一変したファン・ハール評。マンU再建に現地メディアも太鼓判

ルイス・ファン・ハールを新監督に迎えたマンチェスター・ユナイテッド。当初は「独裁的」として危惧する声もあったが、オランダ代表を率いたブラジルW杯での采配ぶりから現地での評価は急上昇した。

text by 山中忍 photo by Getty Images

「目指すべきは4位ではなく常に首位」。就任会見で自信

「独裁的」から「強烈なリーダーシップ」へ。W杯を終え、一変したファン・ハール評。マンU再建に現地メディアも太鼓判
ルイス・ファン・ハール監督【写真:Getty Images】

「ベリー、ベリー・ルイス」。ルイス・ファン・ハール就任会見の内容を耳にしたジョゼ・モウリーニョは、マンチェスター・ユナイテッドの新監督による発言の数々を「いかにもルイスらしい」と評した。その「正直さ」が「彼らしい」のだと言う。

 両者は、90年代後半のバルセロナでモウリーニョがファン・ハールの片腕を務めて以来の間柄だ。かつての師を「生涯の友」と呼ぶ現チェルシー監督は、「正直さ」と表裏一体の「ファン・ハールらしさ」も感じ取ったことだろう。ともすれば「高慢」とも言われる「自信」だ。

 ファン・ハールは、初会見の席で大改革論をぶち上げたわけでもなければ、即座のプレミアリーグ王座奪回を公約したわけでもない。しかし、モウリーニョと双璧を成す強固な「自負心」は言動の端々から周囲に伝わる。

「経歴を見てもらえば過去の功績が分かってもらえる」と言った後の「再現の可否は自然と明らかになる」というくだりは、「成功は再び自ずとついてくる」とでも言いた気だ。「目指すべきは4位ではなく常に首位」だとして、「タイトル」という言葉を使わずとも優勝への意気込みを匂わせた。

 就任会見を伝える国内各紙のスポーツ面には、当然、主役の写真が掲載されていた。背番号1に名前の入ったユニフォームを手にした、監督就任時には御約束の1枚も含まれている。

 だが、会見翌日の『テレグラフ』紙といい、3日後の『サンデー・タイムズ』紙といい、メインの写真は、顎を上げて胸を張る質疑応答時の姿を捉えた1枚だった。この写真を目にしただけでも、ユナイテッドのファンは無冠の7位に終わった昨季のショックから立ち直る勇気をもらったに違いない。

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