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「いかに勇気を持って前に出るか」。シュツットガルトでの4季目、超攻撃サッカーに挑む酒井高徳

text by 本田千尋 photo by Getty Images

「後半、どうしても守備に回るっていう考えが出てきた」

「いかに勇気を持って前に出るか」。シュツットガルトでの4季目、超攻撃サッカーに挑む酒井高徳
勇気が問われるシーズンが幕を開ける【写真:Getty Images】

 ボルシアMGの指揮官ファブレは、フェーの超攻撃的な2バックを見て取ったのか、67分、ワントップのホルゴタを下げて、ハザールを投入する。シュトゥットガルトの2バックに対して、ラファエルとハザールの2トップに変更した。

「後半、どうしても守備に回るっていう考えが出てきた。攻撃に対するサポートとか、幅を使うことが出来なくなってきて、ボールを繋げず、相手に取られて、また守備をするっていう時間が65分過ぎからずっとありました。

 途中で出てきたハザールとかいう奴が結構動き回るタイプだったんで、対応するのにすごく疲れた。掴み見にくい選手でした」

 酒井のところは、さほど危ないシーンはなかったが、シュトゥットガルトはボックス内にディフェンダーとボランチが入る形で守備をしてしまうこともあった。それは相手に色々な選択肢を与えることになり、チームは徐々に押し込まれていく。

 73分、ドイツ代表のクラマーが投入されると、世界王者の登場にボルシア・パークは爆発した。ブラジルから帰還して風格すら漂うクラマーは、89分、押し込まれたシュトゥットガルトDF陣を前に、ミドルレンジからシュートを突き刺した。1-1。

「…カウンターを意識してしまうと、どうしてもSBはちょっと上がれないところはあるので、そこでいかに勇気を持って前に出るかっていうか。それを、今度は自分1人だけではなく、チーム全員が勇気を持つということに共通意識を持つ。

 ポジションの取り方や、ボールの回し方も含めて、それが出来たのが前半で、出来なかったのが後半かな、と思います。そこはチームとして反省ですね」

 試合中は闘志を剥き出しにした酒井は、爽やかな笑顔を残して、ミックスゾーンを後にした。ボルシアMGとの開幕戦を1-1のドローで終えて、勇気が問われるシーズンが幕を開ける。

【了】

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