日本に根付かない「正しい」ゾーンディフェンス

ブラジルW杯で日本の守備はなぜ崩壊したのか? 背景には長年変わらぬ守備の問題点がある。『フットボール批評issue01』(カンゼン、9月4日発売)では、ゾーンディフェンスの観点から日本の守備文化を再考している。一部抜粋して掲載する。

2014年09月08日(Mon)15時00分配信

text by 鈴木康浩 photo Kenzaburo Matsuoka
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マークを受け渡すことがゾーンディフェンスではない

「マークを受け渡すことがゾーン」

日本に根付かない「正しい」ゾーンディフェンス
松田浩【写真:松岡健三郎】

 これでは不正確なのだが、日本サッカーがプロ化されて20年以上が経つ現在も、トップレベルの指導者や選手たちにこの不正確な認識が蔓延してしまっている。

 私は栃木SCの取材を長年こなすなかで、松田浩というゾーンディフェンスに通じた監督に組織的守備の方法論を学んだが、その間も栃木にJ1から期限付き移籍でやってくる選手が「こんな守備の方法は教わったことがない」と驚愕するのが常だった。松田が教えていたのは基本的なゾーンディフェンスの方法論であり、これは90年代にイタリアでアリゴ・サッキが提唱して欧州を席巻した守備の方法論が進化したものなのだが、当時、多くのチームがブラジルサッカーに学んでいた日本には浸透しなかった。松田がゾーンディフェンスをJリーグで実践しても、バルセロナ隆盛の時代と重なったこともあり、日本では「守備的だ」と揶揄された。

 今期FC東京の監督に就任したイタリア人指揮官マッシモ・フィッカデンティが来日早々に嘆いている。

「日本人選手には基本的な守備の個人戦術が身についていない」

 これは日本代表の森重真人を含めてである。

 ザッケローニも同じ問題を抱えていたに違いない。代表監督に就任して早々、招集された槙野らが「守り方が全然違う。今まで教えられたものとはまさに真逆」などと驚く様子が報道されている。ザッケローニはイタリア語でいうディアゴナーレ(対角線、斜めの意)などといった基本的な守備のポジションニングを指導しただけであるにもかかわらずだ。

 初陣となったアルゼンチン戦では、完璧ではないまでも集団的な守備戦術が機能したが、年月が経つにつれて日本代表からその色が感じられなくなった。ワールドカップのアジア予選が始まると、ほとんどの試合相手がアジアの格下になったこともあり守備の局面が少なかった影響があるかもしれない。そして昨夏のコンフェデ杯以降、世界屈指の強豪に大量失点を繰り返した。日本人選手に本来的に守備戦術が備わっていれば、違った結果を勝ち得ていたのではないかと思うと心底悔やまれる。

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