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日本代表 10年前

「しぶとく泥臭く守る覚悟」を植えつけるも、直面した宿敵・韓国の壁。五輪予選へ問われる手倉森監督の手腕

text by 元川悦子 photo by Getty Images

点を取りにいった矢先でのアクシデントでゲームプランに誤算

 2トップになったことで前への推進力も出てきたが、そんな矢先に矢島が負傷。このタイミングで原川を入れて4-3-3に布陣変更することになる。これはチームにとって大きな誤算だったようだ。

「荒野で点を取りに行ったけどアクシデントが起きて、延長も覚悟しながら原川でボールを動かし返したいなってところでしたね。

 Jで90分出てない選手たちが、これくらいのテンションの中でもやれるようにならないと。それが我々に求められることだと思います」と手倉森監督もJで出場機会の少ない選手の起用の難しさを吐露した。

 歴代の五輪代表監督も同じ悩みを口にしていたが、そこが日韓戦の1つの足かせになったのは事実だろう。

 120分粘って韓国がペースダウンしたところで1点をもぎ取る、あるいはPK戦でしぶとく勝つという指揮官のシナリオは後半終了間際のPK献上で崩れることになった。日本は0-1で手痛い敗戦を食らい、またもアジア4強の壁を破れなかった。手倉森監督自身のリベンジも果たせなかった。

「連覇のかかった大会で結果を出せず、ホント悔しいですよね。U-16も韓国に負けたし、我々もまた1つ悪いジンクスを招いてしまった。あの時間帯まで粘りながら、残りの時間を考えた時、もう少し我慢できれば勝負を先伸ばしすることができた。

 韓国が後半にパワーを見せた分、延長になったら必ず消耗するだろうなと考えていましたから、非常にもったいない。今のU-21日本はそういったところのゲームコントロールを身につけている最中。今日もこの大観衆の中でプレーして教えられた。『ここで感じたことが財産だぞ』という話は選手たちにしました」

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