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フットボールマネーを追え!【07】アディダスとナイキ、火花を散らす2社。マンUはシャツ契約で100億円以上の利益

シリーズ:フットボールマネーを追え! text by 小松孝 photo by Asuka Kudo / Football Channel

目に見えない洞察力や卓越した技術力で勝負する日本メーカー

フットボールマネーを追え!【07】アディダスとナイキ、火花を散らす2社。マンUはシャツ契約で100億円以上の利益
日本サッカー協会が2014年8月、ナイキからのオファーを蹴って、アディダスとの契約延長を決定したように、日本でも、両社をめぐる熱いバトルが繰り広げられている【写真:工藤明日香 / フットボールチャンネル】

 このように莫大な費用をかける彼らは、どのような見返りを期待するのか。

 アディダスについていうと、2014年W杯ブラジル大会では、ドイツ代表のレプリカシャツの販売枚数は200万枚を突破。これは、2006年に自国開催したW杯ドイツ大会時よりも30%も多い販売枚数である。

 加えて、アルゼンチン、メキシコ、コロンビアのレプリカシャツもそれぞれ100万枚の大台に乗せ、終わってみれば800万枚の販売に成功。

 試合球に施された『ブラズーカ』ボールに至っては、世界中で1,400万個が売れた。

 アディダスによると、こうした結果から2014年上半期におけるサッカー用品の売り上げは、すでに20億ユーロ(約2,800億円)に達したという。

 日本サッカー協会が2014年8月、ナイキからのオファーを蹴って、アディダスとの契約延長を決定したように、日本でも、両社をめぐる熱いバトルが繰り広げられている。

 そうしたなか、日本のメーカーも負けてはいない。

 ミズノは2008年秋、当時まだ世界的には無名に近かった本田圭佑とタイアップし、無回転シュートを可能にするスパイク『イグニタス』の開発に着手した。

 そして迎えた2010年W杯南アフリカ大会で本田は、デンマークを相手に、あの感動的な、ぶれ球を叩き込むことに成功したのである。

 資本力に頼ったマーケティング戦略が『bland visibility(ブランドの可視化)』であるならば、目に見えない洞察力や卓越した技術力を用いた商品は、唯一無二の日本ブランドである。

 スパイクをはじめ、商品開発分野でも激しい戦いが展開されるなか、シャツの吸水性や撥水性、さらには軽量化についても力が注ぎ込まれている。

 しかし、試合終了後に、勝利の雄叫びを上げる選手の汗がたっぷりと染み込み、ずっしりと重くなったゲームシャツほど、価値が高いものはないだろう。

【08に続く】

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