イタリアでバッタ屋が淘汰されない理由
イタリア南部の都市、ナポリ近郊の、とある道路脇には、そこで亡くなった弁護士の碑があるという。
今から50年ほど前、まさにその場所で、その弁護士を乗せた車が爆破されたのである。その追悼のために碑が建てられたというのだ。
詳細については分からないが、殺された理由について、闇の組織から「俺たちの言うことを聞け。さもなければ命の保証はないぞ」という恐喝を受けていたなかで、正義感にあふれたその弁護士は、彼らの脅しに屈しなかったからだそうだ。
それを反対側から読むと、つまり、その他大勢の弁護士は…いや、その先についての発言は控えておこう。
セリエAの試合当日は、スタジアム周辺や最寄り駅周辺には、数多くのタオルマフラーやレプリカシャツなどを売る露天商が立ち並ぶ。
俗にいうバッタ屋と呼ばれるそうした店は、闇の組織の管理下にあるらしく、クラブ側も暗黙の了解なのか、真相はともかくとしても、今のところその状況が改善されるという話は聞かない。
そのせいか、試合当日はかきいれ時にもかかわらず、公式ショップにファンが大挙して押し寄せる光景もあまり見られない。
こうしたことも原因の1つとして、セリエAのコマーシャル収入がやや低迷しているのでは、ともささやかれている。
小売業界では、アナログ店舗でも、インターネットの店舗でも、商品を「置いておくだけじゃ売れない」は、いわば常識である。
そのため、いかに分母(集客)を増やし、コンバージョン率(転換率)を改善し、客単(1人当たりの購買単価)を引き上げるのかについて、日々、さまざまな取り組みがなされている。
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