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元ドイツ代表GKの自殺から5年。ハノーファー会長「毎日彼のことを思っている」

text by 編集部 photo by Getty Images

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元ドイツ代表でハノーファーのGKロベルト・エンケ氏の自殺から5年が経った【写真:Getty Images】

 元ドイツ代表でハノーファーのGKロベルト・エンケ氏の自殺という衝撃的なニュースから5年が経ち、5年祭が行われた。10日のドイツ紙『ビルド』をはじめ、各紙が報じている。

 エンケ氏は生前、ドイツ代表GKにも選出され8試合に出場。2010年の南アフリカW杯では正GK候補と目されていた。しかし、輝かしい活躍とは裏腹に、長年うつ病に悩まされていたという。そのため、2009年の11月10日に自宅近くの駅付近の踏切で、電車に飛び込みその命を絶った。

 最後の所属クラブとなったハノーファーのマルティン・キンド会長は「非常に正確に、詳細にその日のことは覚えている」と、『ビルド』のインタビューに答えている。

 同会長は「まるで映画のような話だ。事件を聞いたときは唖然とし、ロベルト・エンケではないことを祈ったよ」と、信じられなかった様子。そして、エンケ氏であることが確認できた際に「ショックを受けた。信じられなかった」と、当時を振り返った。

 同氏の死は、サッカー界だけではなく、ドイツ国内に衝撃を与えた。ニーダーザクセン州とハノーファーは、エンケ氏を忘れないためにロベルト・エンケ記念館を協力して設立。さらにキンド会長の提案もあり、ハノーファーのスタジアムの通りは「ロベルト・エンケ・シュトラーセ」と名付けられた。

 また、エンケ氏の死をきっかけに、うつ病に対するドイツ国内での考えが深まり、ドイツサッカー協会(DFB)、ドイツサッカーリーグ(DFL)、そしてハノーファーは、2010年にロベルト・エンケ財団を設立。うつ病に苦しむ人々やアスリートの救済活動を行っている。

 同会長は、エンケ氏の死がきっかけでドイツ国内のうつ病に対する考えが大きく変わったことをポジティブとしながらも、同氏のことを理解してあげられなかったことを悔やんでいる。

 そして「この日のことを私は決して忘れないだろう。毎日ロベルトのことを思っている」と、エンケ氏を偲んでいる。

【了】

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