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3位へ急上昇、マンUはなぜ復活したのか? 美意識求める指揮官が兼ね備えていた“現実感”

今季、リーグ戦序盤で不調が続いたユナイテッド。しかし、名門を復活させたのは母国をW杯3位に導いた名将だった。

text by 山中忍 photo by Getty Images

復調の兆しを見せるユナイテッド

3位へ急上昇、マンUはなぜ復活したのか? 美意識求める指揮官が兼ね備えていた“現実感”
ルイス・ファン・ハール監督は、名将らしい手腕を発揮し始めた【写真:Getty Images】

 マンチェスター・ユナイテッドが、12月14日の16節リバプール戦(3-0)で連勝を「6」に伸ばした。11連勝を記録した2008-09シーズン以来の「3ポイント獲得ラッシュ」だ。順位も6試合前の10位から3位に急上昇した。

 但し、サー・アレックス・ファーガソン元監督の下でプレミアリーグ3連覇を果たした当時のような、ユナイテッドらしい豪快さは影を潜めたままだ。リバプール戦にしても、最終スコアを想像させるほどの快勝ではなかった。

 新MFのアンヘル・ディ・マリアが移籍直後からワールドクラス級の実力を披露しているとはいえ、今夏に総額300億円近い補強がなされたチームとしては淋しいパフォーマンスが続いている。

 しかし、W杯で母国オランダを3位に導いたルイス・ファン・ハールは、名将らしい手腕を発揮し始めた。得失点への影響が大きいCFとGKの好調に助けられた部分はあるものの、エースのロビン・ファン・ペルシは開幕から不振が続いたが11月末からの4試合で4ゴール。

 チームとして僅かシュート3本に抑えられた15節サウサンプトン戦(2-0)でも、自ら全シュートと全得点を記録して責任を果たした。ダビド・デ・ヘアは、3バックと4バックの別はもちろん、正CBコンビさえ定まらない最終ラインの背後で孤軍奮闘。リバプール戦だけで好セーブ4本という守護神ぶりだ。

 とはいえファン・ハールは、開幕からポイントと自信を落とし続けた上、新CBのマルコス・ロホと新ボランチのダレイ・ブリントを含む守備陣を中心に、故障者続出の不運にまで見舞われたチームを連勝街道に乗せたのだ。蘇生成功の鍵は、サッカーの「美意識」に拘る新監督が兼ね備えていた「現実感」。この一言に尽きる。

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