勝利する側でも八百長に関与することはある
アギーレ氏の関与が疑われている八百長が行われたとされている試合は2011年5月のもの。リーガエスパニョーラの最終節だ。アギーレ氏率いるサラゴラは降格圏に沈み、すでに残留を決めていたレバンテとのアウェイゲームに挑んだ。
この試合でサラゴサは2-1で勝利し、大逆転で残留。レバンテがわざと負けたのではないか、と疑われているのだ(ちなみにこの時順位を抜かされたラ・コルーニャはこの試合で八百長に関わったとされる人々に賠償請求をしようとしている)。
スペイン反組織犯罪対策検事局(日本での特捜部)は、アギーレ監督を含む当時のサラゴサの選手9人が、当時クラブの会長を務めていたアガピト・イグレシアス氏から一人当たり8万ユーロ(約1120万円)の“ボーナス”を受け取っていたと発表し、その額がレバンテに渡ったと踏んでいる。
つまり、レバンテ側に渡す金がアギーレ氏などを経由していたのだ。サラゴサは勝ったチームではあるが、関与が疑われているのはこのためである。アギーレ氏はこの事実について、司法当局に答えたい、と肯定も否定もしなかった。
具体的にアギーレ氏が問われるのは以下のようなことだ。
・会長から金を受け取った事実があるのか
・その金がどのような目的で使用されるのか知っていたのか
・その試合で八百長が行われるのか知っていたのか
八百長はわざと負けた側が行うこと(この場合はレバンテ)と理解している人が多いかもしれないが、そうではない。場合によっては、勝利する側(この場合はサラゴサ)も結託して勝敗を操作している可能性もあるのだ。