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皇后杯制覇に大きく貢献。進化を続けるアタッカー・籾木結花

皇后杯決勝が1日に行われ、日テレ・ベレーザが浦和レッズレディースを1-0で下し、2009年度大会以来11回目の優勝を果たした。

text by 青木務 photo by Getty Images

「キーパーにこぼしてもらおうと思ってファーに打った」

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籾木結花は抜群の存在感を放った【写真:Getty Images】

 雪が舞う味の素スタジアムで、ベレーザが躍動した。リーグ戦では浦和レディースに対し1勝1分2敗という結果に終わっていた。これまでは相手の激しいプレスに押し込まれ、持ち味を封じられる展開が続いたが、この日は立ち上がりから細かくボールを動かして主導権を握った。

 そうして迎えた19分、ベレーザはMF阪口夢穂が浮き球を前線へ送ると、FW田中美南が収めようとする。これはディフェンダーに防がれたが、こぼれ球をFW籾木結花がPA手前で拾うと、そのまま持ち込んで強烈な左足シュートを放った。そして、相手GKが弾いたところに田中が詰め、先制点を奪った。結果的に、このゴールが決勝点となる。

 狙い通りだった。

 籾木はシュート体勢に入った時、「最初は自分で決めようと思った」という。しかし、「角度的に少し難しいと思ったので、決めに行くというよりはキーパーにこぼしてもらおうと。田中さんがまだ中に残っていたので、そこにうまくこぼれればいいなと思ってファーを狙って打ちました」と、田中にボールがこぼれることを計算してシュートを打ったという。

 こうした咄嗟の判断ができるようになったのも、彼女の成長の証だ。

 高校に進学した2012年、籾木は下部組織のメニーナから昇格した。当時から技術は際立っていたが、戸惑いもあったという。

「ベレーザのサッカーのスピードになかなか付いて行けなくて、練習の時のポゼッションなんかも結構いっぱいいっぱいでした。メニーナとはスピード感が違うなと感じていました」

 飛躍のきっかけとなったのが、2013年だ。ベレーザは岩渕真奈(現バイエルン・ミュンヘン)など前線の選手がチームを退団。籾木にかかる期待も一気に増した。そして、この1年でなでしこリーグのレベルに完全に順応すると、2014年は攻撃の中心選手としての地位を確立した。

「余裕が生まれたというのが自分の中であって、自分の考えることも増えてきたり、プレーの幅も広くなった。ポジションの変更もあったりして、そういう部分が得点に絡む上で成長できたのかなと思います」

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